「 あなたの中の異常心理」って・・・
今日もまたkindleのセールの本なのですが・・・
私は普段この手の本は読まないし、セールで買ってもよほど面白いと感じなければレビューする気なんてないんですが、これはちょっと眉をしかめる内容だったので書いておくことにします。
いや、お話としては面白いですよ。
飲み屋で隣のおっさんがこんなこと話してきたら、思わずビールおごっちゃうくらいよく出来てます。
ただこれは精神科医が書いた学問書的なものじゃなく、あくまで与太話程度に捉える必要があると考えます。
何故学問じゃないかと言うと、作者の主観による脚色が酷いからです。
この本の構図は、まず作者が問題提起してそれを説明する為の例え話をして、その例え話から問題を紐解くというものです。
その例え話の引用の仕方がまったく学問的でないので、ただの物語だと割り切る必要があるのです。
例え話には実在した人物が多く引用されています。
心理学をかじったことのある人なら、人の行動にはいろいろな要素があることは知っているでしょう。
ところがこの作者はその人物の一部を誇張して、「こういう人間だからこうなった」と決め付けています。
作者は精神科医だそうですが、勿論引用した人達を診察した実績なんかありません。
いや、ひょっとすると私が知らないだけで、この作者は三島由紀夫やマルキ・ド・サドやユングを診察したことがあると主張しているのかもしれませんが、それはそれで学問的じゃないですよね。
この本は曲がりなりにも医師を名乗っている人が、診察もしてない人のことを伝聞情報だけで断定しているわけです。
なにそれ怖い・・・
自分の主張の為に都合のよい事実だけを抜き出して、さらに誇張することで自説を補強する・・・
これは311以降我々を悩ませてる、デマを拡散する専門家達と同じ手法ですね。
だからこの本を読んで心理学的な知識を得たと思った人は、騙されやすい傾向があるので気をつけた方がいいですよ。
心理学好きのおっさんが語り部のフィクション程度の捉え方が適切かと思います。
そういうレベルで読むならいいんじゃないでしょうか。
まあこの作者みたく「虚飾を並べる人」の心理についても本の中で解説してたりするので、その点は公平な本なのかも知れません。
どんな人の中にも異常心理は潜んでいる、作者自らがその主張を証明している訳ですから・・・