kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「未完少女ラヴクラフト」を読んで

今週のkindle本セールの一冊ですが、

結局、「未完少女ラヴクラフト」はジュブナイル的というよりホラーっぽいので、「kindle昨日京奈良飛鳥明後日セール事件」とは無関係であったと判定します。

表紙からもっと萌え萌えした印象でしたが、意外ときちんとしたパロディでしたよ。

真っ当なクトウルフ神話のファンなら十分楽しめると思います。

 

私のクトウルフ神話初体験は小学生の頃に読んだ風見潤さんの「クトゥルー・オペラ」だし、第二弾が中学生の頃に読んだ栗本薫さんの「魔界水滸伝」なので、かなり歪んでます。

ただ日本でのクトウルフ的な扱い見てると、この二人の影響を受けた人は多いですよね?

直接の影響は受けてなくとも、最近の惨状から二次汚染がかなり広範囲に広まっていると思います。

ラグクラフトの中ではクトウルフの神々は根源的な恐怖であり克服できない災厄ですが、「クトゥルー・オペラ」や「魔界水滸伝」では、邪神なんてのは正しく対処すれば十分に殺れる相手ですからね。

 

そもそもクトウルフ神話はキリスト教的価値観や人種差別的な偏見が背景にあると言われてるので、八百万の神々がいる日本ではあまり共感できない部分も多いんでしょうね。

栗本薫さんの「魔界水滸伝」はその西洋的な概念と日本の土着的な信仰を、うまい具合に融合させるというか対立させることで独特の雰囲気を作り出していました。

あれは世紀末というか高度成長末期の独特の時代だから成立したような気もするし、なんだかんだで最後はぶん投げ状態なのであまり人には薦められませんが・・・

 

「魔界水滸伝」では邪神に対抗する側も特殊な能力が求められましたが、「クトゥルー・オペラ」はその辺がちょっと違ってました。

クトゥルー・オペラ」でも邪神と戦うのは超能力を持った七組の双子なので、特種能力は必要だとなりそうなのですが、それはちょっと違うのです。

超能力は邪神と戦う為の道具の一つでしかありません。

真なる武器は物理と言う名の叡智なのです。

いかなる邪神もこの世界に存在する以上、物理法則に従わざるをえません。

双子達は様々な物理現象を利用して邪神達を打破します。

例えば念動力で相手を動かすにしても、直接力をぶつけるよりは、テコの原理を利用した方が何倍もの力を生み出しますよね。

そんな感じに正しく物理学を応用すれば、邪神にすら対抗できちゃうのが「クトゥルー・オペラ」です。

物理学、マジパネェっす。

私はこれに影響されて大学で物理学を修めましたので、低級な邪神やその眷属くらいなら多分なんとか出来ちゃいます。それを試す事態に陥ったことはありませんけどね!

そんな感じで子供の将来を左右する名著なのですが、残念ながらまた絶版ですね・・・

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