kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ【完全版】1 」を読んで

最近完結したという噂を聞いたものの、スタートが二十年前で中断してからも十年以上経っている訳で、時事ネタ使いまくりの作風ということもあって再読するのを躊躇していた一品です。しかしkindleの月間セールになったとなればこれはもう買うしかないでしょう。

 

そんな訳で購入して、初っ端の新作短編を目にして・・・滑ってますね、これはもう盛大に滑ってますね。コレ始めは紙の本で出版されたからなんでしょうが、電子書籍端末で読んでると通じないネタがいきなり飛び込んできます。再開したのは数年前、その頃はまだ二回目くらいの電子書籍元年だから仕方ないのかも知れませんが、せめて電子書籍版にする時に書き直すくらいのこと出来なかったんですかねぇ。しかも巻数が01でなく1なんですよ。これタイトルでソートすると十巻以降が二巻の前に来ますよね。出版する側は電子書籍をもっと真剣に考えるべきヽ(`Д´)ノ

 

この話、主人公のヤマモトヨーコは強気の女子高生で、ライトノベル名物のスレイヤーズのレナやら涼宮ハルヒやらの系統ですね。可愛い女の子なら傍若無人に振舞っても構わないという風潮のもとで構築されたキャラなので、今じゃ人によっては受け付けないかもしれません。ちょうどこれと同じ頃にそういうキャラへのカウンターとして、男女平等主義の黒魔術師オーフェンが登場したんですよね。もう何もかも懐かしい・・・

涼宮ハルヒ以降は傍若無人キャラを主人公にするのでなく、その周りで翻弄されるキャラを主人公にするのが流行りだし、時事ネタだけでなくいろいろな意味で「古さ」が目立つ一品です。

 

完全版の後書でわざとその時代でしか通じないネタを多用したって書いててよけい残念感が・・・ぶっちゃけ主人公チームが地に足つけて生きてないので、その時代の雰囲気なんてほとんど出てなくてひたすら訳の分からないネタ喋ってるだけなんですよ。当時の流行ってるネタを架空の存在してない単語に置き換えても、何の問題も無く成立するのがほとんど。もっと生活感あれば別なんですが、当時でもありえないようなリベラルな校風の学校でお気楽なクラブ活動してるくらいですからね・・・時代背景的な感想は、ネタが古い以上のものが出てきません。

しかも現代のキャラがエキセントリックすぎて、千年後の人達の方が分かりやすくて・・・現代人と未来人の精神的なギャップとか全然やってないのも勿体無いです。現代がらみのところは設定も扱ってるネタも必然性が無さ過ぎるんですよ。せめて最後まで一気に出し切ったら勢いでごまかせたんですが、ご丁寧に十年も立ち止まってくれたおかげで荒ばかり目立つ結果になっちゃった印象。

 

SFとしては1万年前に銀河系から消えた謎の文明オールドタイマーの遺跡を軸として、格闘戦艦みたいな個性的な戦術の宇宙戦艦がいろいろ出てきてそれなりに楽しいんですが・・・表面的な部分がアレなので今の人達にはお勧めできないですね。内容的にはあまり共通点がないですが、宇宙戦艦ヤマトを好んで見てるような人の方が楽しめると思います。逆に細かいこと気にする人は読んじゃだめですよ。