kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

守れない大人達

二日連続でアニメの中の子供の扱いについて書いたので、ついでにもう一回だけ書いておきたいと思います。

 

私が片っ端からアニメを見るようになったのはデジモンアドベンチャーがきっかけでした。当時はまだビデオテープに番組を録画する時代で、テープは私は見たら上書き派だったんですが、上書きしやすいようにどんな番組でも一時間の枠で録画していました。

アナログメディアで三十分の番組と一時間の番組を時間通りに録画すると、管理がややこしくなりますからね。関西ではターンエーガンダムデジモンアドベンチャーを連続で放映していて、はじめのうちデジモンは私にとってはターンエーについてくるおまけだったんです。

 

デジモンアドベンチャーも子供達が戦うアニメです。

実際に戦うのはパートナーのデジモンですが、子供達とデジモンとは友達なので子供が戦っていると言っていいでしょう。

 

何故子供が戦っているかというと、始めのうちは子供達だけでデジタルワールドという異世界に迷い込んで、そこで争いに巻き込まれたからです。周りに大人が居ないから子供達が戦うというシンプルな構図ですね。

 

このデジタルワールドから主人公のタイチとパートナーのアグモンだけが現実世界に戻るというエピソードがあります。デジタルワールドは何かと不便なところだったので、水道から水が出て冷蔵庫に食べ物が入っててクーラーで快適に過ごせるという当たり前の生活が、どんなにありがたいことだったのかとタイチが実感します。そしてアグモンに提案するのです、「もしデジタルワールドに戻れないならこっちでずっと過ごそう」と。いろいろ問題があるかも知れないけど、お父さんとお母さんがきっと何とかしてくれるからと。

まだ小学生のタイチにとって、両親は無条件に信頼できる存在だったんですね。ところがこの後の事件でデジタルワールドでの出来事が現実世界にも影響を及ぼすことと、それを解決できるのが自分達しか居ないことが判明します。アグモンはこれ以上タイチを巻き込まないように一人でデジタルワールドへ戻ろうとしますが、タイチはアグモンと共に進む決断をしました。

 

これ以降、子供達は現実世界に戻っても大人達には何も打ち明けず事件を解決しようとします。デジタルワールドでのいろいろな経験が、親に守られてる子供という立場から彼らを成長させたのですね。この子供達がパートナーデジモンとの出会いを通じて自立していく展開は大好きでした。特にタケルとパタモン・コウシロウとテントモン・ソラとピヨモンのエピソードは今思い出しても泣けてきます。

その後デジモン達が現実世界を侵食しだすと大人とも協力しましたが・・・その頃にはもう守られるべき立場でなく、世界を守るべき立場だという自覚が子供達に出来ていたんですよね。

 

続編のデジモンテイマーズではもう一歩進めて、大人の方にもかなりのスポットが当たっていました。

こちらもデジモンに対して大人達は無力でしたが、その無力さに絶望したり自棄になったりしつつも、最後はその負の感情を克服して子供達を支えていく様子が描かれていました。

また主人公のタカトもタイチに比べると精神的にかなり幼くて、パートナーのデジモンと一緒に居たいという一心で動いていた感じで、自分がどんなに危険なことに巻き込まれているかきちんと認識しておらず、しかも後半は戦闘時にデジモンと一体化する展開で、小学生が戦っているということをかなり強調する演出になっていました。

小学生を戦場に送り出す親達の苦悩とか、子供番組でここまでやるのかと驚いたものです。特に担任の先生の反応が好きでした。

テイマーズは中盤に緊張感に欠けるバトルシーンが多くて間延びした印象なので、万人に勧めるのは躊躇いますが、個人的には好きな作品です。

 

デジモンアドベンチャーに出会ってからは積極的に子供番組もチェックしてますが、あのころはメダロットとかいい作品が多かったですね。

大人達が苦悩して子供達と一緒に成長していくという意味では、少し前にやっていた銀河のキックオフもいい作品でした。今だとアイカツがしっかりフォローしてくれる大人を描いてますね、子供達の行動がピーキーすぎてあまり目立たないですが・・・

何年かに一度はしっかりと考えられた子供番組が作られる土壌が出来ていると思います。

 

ただ子供を戦わせる系のアニメは未だに配慮が足りないものが多くて、見てて嫌な気分になることが多いです。総理大臣の暗殺計画を小学生に阻止させようとするような、狂ってるとしか思えない作品もありますし。そもそもきちんと考えれる人達は、もう子供が戦うような番組を作らない時代なのかも知れませんね・・・