kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

ラブコメ考

もう旬を逃しておりますが、「馬鹿とテストと召還獣」の最終巻を読んだんですよ。


まあ、アレです。やっと終わってくれたかというのが正直なところ。本編は軽快な語りでノリがよく読みやすいというのは変わらないんですが、後半からストーリーの方がマンネリというか露骨な引き伸ばしが多くなってあまり楽しめなくなったという感じでした。
特に状況を引っ掻き回す為の一部のキャラが、特定の状況に反応して主人公の邪魔をするだけで人間的な幅や深みや成長がなく、登場回数が多くなるほど飽きるというか終盤には不快感さえ感じましたからねぇ・・・
この作者の語りのノリと言うかセンスには光るものがあるのですが、反面複雑なストーリーや群像劇は苦手なようでいろいろともったいないです。一人称を用いた漫画的なセンスと小説としての構成力があるのって、今のところ新井素子さんが元祖にして唯一なのかなぁ。

 

さて後半の引き伸ばしなんですが、これは主人公がヒロインに告白したら終わるという特定のラブコメが持つ構造的欠陥ですよね。あだち充さんのマンガによくあるタイプです。ただあだちさんはとても潔くて、どんなに盛り上がってても告白したらあっさりと終わるので、連載を追いかけてると終わったことに気付かずに「最近ずっと休載してるなぁ」なんてことも多かったんですが、たいていは盛り上がった状態を維持しようとして失敗するんですよね。

盛り上がりを維持する為に新キャラを出したり、膠着した現状でキャラを掘り下げることが難しくなって過去話で後付設定をつけたり・・・

作者も引き伸ばしてる自覚はあるから風呂敷を畳む為により大きな事件を演出しようとして逆に手に負えなくなってそのまま中断・・・なんてこともよくあるので、きちんと終わってくれただけマシと言えるでしょう。マジそれが心配になるほど悪いパターンで展開してましたからねぇ・・・

ぶっちゃけ告白しても続けりゃいいじゃんと思うんですが、その辺は様式美なんでしょうか。

 

次作に期待と言うか、これくらいセンスのある語りなら原作付き漫画みたいにプロットを他の人に考えてもらうのもアリだと思うんですが・・・