kindle沼日記

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「魔法のプリンセス ミンキーモモ」を見終わって

関西では「魔法のプリンセス ミンキーモモ」の再放送が去年から今年の頭まで毎日やっていて、録画はしていたものの消化しきれていなかったのですが、幸か不幸か前期はあまり面白いアニメがなかったので、合間合間に消化してこの程ようやく見終わったのです。

 

ミンキーモモはいろいろと有名なアニメですが、実は子供の頃にリアルタイムで見てまして毎週かなり楽しみにしていました。その後続編が作られていたことは知らなかったのですが、今回の再放送では連続でやってたので続編の方も見ることが出来ました。

何故わざわざ子供の頃に見ていたものを見たのかというと、記憶は時々大嘘をつくので、記録と突き合わせてしっかりと精査しなきゃならないからです。子供の頃に好きだったものは大人になっても無条件で受け入れがちですが、ホントにそれでいいのかという訳です。単に記憶が美化されてトンチンカンなこと言ってたら、迷惑以外の何物でもありません。

 

で、結論から言うとかなり記憶が美化されてましたよ・・・
ミンキーモモは今の目で見るとかなり厳しいです。

 

最近でもロクに内容を考えていない子供だましなアニメはよくありますが、それらと比べてもぶっちぎりで子供だましです。特に初期の頃は酷くて、ストーリーと呼べるようなものもありません。モモが変身する職業を初めに考えて、適当にそれが出てくる話をでっち上げた程度です。
後半というかモモの死後からは多少マシになりますが、それでも最近のアニメと比べると・・・その辺はまだ続編の方がマシですね。続編の方は前篇から十年近く後に作られてますが、脚本の技術はその分だけ十分にアップしています。
前編の面白かった回で、続編の普通だった回くらいの面白さです。

 

ただ小学生の頃の私を弁護するとですね、今見るとストーリーは面白くなかったですが、凄く魅力的な作品ではあったんですよ。
ちょっぴりえっちな変身シーンは置いとくとしても、ヨーロッパ風の街並みとモモ達のキャラクターは今でも十分通用すると思います。話のノリというかテンポの良さもそこそこではないかと思います。

最近では番組途中で魔法少女が車に轢かれて死ぬというストーリーに注目が集まりがちですが、むしろキャラと世界観が当時の子供達に受けていたんだと思います。
今見ても十分POPな感じですが、当時初めて見た時のインパクトはホント凄かったんですよ。

 

逆に今の目で見ると子供番組のくせにやたら夢がない展開にうんざりしますが、これは当時の世相として仕方がなかったと思います。


当時はね、高度成長期と呼ばれた時代には子供達が将来に夢なんか持てる時代ではなかったんです。
あの頃、大人達は口々にこう言ってました「今の子供達は可哀そうだ、自分達の子供の頃は豊かな自然の中で日が暮れるまで遊んだけど、今の子供は大気汚染の中で遊ぶ場所もなく勉強ばかりさせられている、何故なら豊かな自然は俺達が豊かになる為に全部壊した、こんな風にな!!」そう言って数少ない空き地にビルを建て、海はヘドロにまみれ、光化学スモッグが空を覆う日本を作り出していました。
そんな世の中だから、子供達の大半は二十一世紀が来る前に世界が滅びるというノストラダムスの大予言をどこかで信じてましたし、予言通りにならなくても、こんな世の中はいずれ滅びると確信していました。


大人達が悪いとひたすらDisり続けていたシンガーが、自分がDisられる年齢になった時に何もできないことに気付いて死を選んだのもこの時期でしたね。日本を滅ぼそうとした赤軍やオウムみたいな馬鹿がくすぶってたのもこの頃です。その子供達の絶望のピークの頃に作られたのがエヴァンゲリオンだと言えば、子供達がどれ程追い詰められていたか想像していただけるでしょう。


そんな時代だから、夢がないのは仕方ありません。

 

バブルがはじけて高度成長期という悪夢から覚め、汚い毒で地域を穢す工場を海外に追いやって、排気ガスの源である車も欲しがらなくなった今なら、また違った展開があったんだと思います。って言うか、それがアイカツであったりプリパラであったりするんでしょうね。
今の子供達が夢を叶えるのにもう魔法なんかいらない、そんな時代になった訳です。
そりゃ魔法少女がただの戦闘要員になっちゃう訳だ・・・

 

ミンキーモモは斬新なキャラを生み出しましたが、ストーリーは残念な出来でした。ストーリーを過大評価してる人達は、キャラの印象ばかり覚えていてストーリーの方が美化されちゃってる老害だと思っていいですよ。

ただモモのキャラがそれほど凄かったのが原因なので、あまりせめないであげてください・・・