kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「下ネタという概念が存在しない退屈な世界7」を読んで

もう七巻とは、早いものですね。

 

 

さていろいろな世代の事情や立場の違いから発生する問題を赤裸々に書いてきたこのシリーズですが、今回は各集団でのセクト間抗争という感じですね。

 

まず推進派では、
・高潔な世界を実現する為だけに生きる理想家
・その理想をプロパガンダにして自分達の利益になるよう誘導している政治屋
・その政治屋の甘言を碌に考えもせず受け入れている民衆。
との間に摩擦が発生しています。

理想家は政治屋と袂を分かち、政治屋は持てる権力のすべてを使って理想家を落としめます。官僚の政策に反対する閣僚に、突然スキャンダルが発生してマスコミが群がるアレです。そして民衆は効果の出ない政策に苛立ち、あっさりそれまでと正反対のことを言う団体の支持へ回ります。
この辺りの流れは、民主党政権が崩れ去った頃を思い起こしますね。

 

対する主人公の属する否定派では、目的の為なら手段も選ばぬ急進派と伝統を重んじる保守派に分裂します。
主人公が急進派、ヒロインが保守派に分かれてのロミオとジュリエット状態です。そこに推進派とつながっている利権主義の派閥が、否定派の主流を一気に崩して自分達が組織を牛耳る為に強硬手段を使って主人公とヒロインの仲を徹底的に引き裂こうと画策します。前巻では話が政治的に大きくなってしまって主人公達が付け合わせ的な感じでしたが、今回は揺れ動く時代の激動に二人の仲が引き裂かれるかどうかという展開なので見せ場は十分です。

ブコメ的に見ても告白したら終わりという安定期に入ってやたら引き延ばしをするでなく、周囲をひっくり返して互いに求めあうという熱い状況を作り出しているのでラブが好きな人でも十分満足できるでしょう。若者特有の全能感に支配されて肥大した自我と、自らのその状態に危機感を覚えつつ正解に辿りつけず苦悩する様が、四〇代のおっさんからするとほろ苦くも懐かしい感覚です。
人生に正解なんてものがないことに気づくには、まだ主人公達は若すぎますからね・・・

 

このシリーズはちょっとアレな感じがするタイトルと、かなりアレな感じのイラストのせいで相当アレな感じの話だと誤解されがちですが、まだ読んでいない方は騙されたと思って読んでみることを強くお勧めします。
実際には1ページに三回は下ネタが入っていて、うっかり誰かに覗き見でもされたら社会的地位がやばくなる代物なので、絶対騙されたって思うことはこの私が保証しましょう。