kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「掟上今日子の備忘録」を読んで

ある日kindleストアを「西尾維新」で検索したところ、一冊の小説が検索されたのです。

 

いつのまにか西尾維新さんの小説が存在しない世界に紛れ込んでいた私ですが、ようやくこの世界でも西尾維新さんの小説が読めるようになったのは喜ばしいところ。kindle愛好家の皆さん、西尾維新という作家では紙の本がまだ存在している世界では多作な作家さんなんですよ。
こちらの世界ではこれがデビュー作ということになるのかもしれませんが・・・

 

さて喜び勇んでその本をダウンロードして読み始めた私ですが・・・

迂闊でした。私がかつて存在していた世界とこちら側では「西尾維新」という名前が同じでも同じ人物とは限らないんですよね。

 

話のジャンルは彼の得意とするところの「推理小説っぽい青春小説」です。世界観も現実っぽいけど何所か現実感のない作り物めいた世界で、これも私の記憶の中の彼の特徴と一致します。
でもこれは決定的に彼が書かない類の物語です。

 

「幼女」が出てこないのです。
それどころか、10代の女の子も出てきません。

 

私の知る西尾維新という作家は、その自伝的小説の中で小学生の女の子とお風呂へ入ったことの感謝の証として小説を書き続けるとかいうことを言いきっていた、正真正銘のド変態です。いわゆるロリコンと勘違いされやすいですが、そんな生易しいものではありません。彼は見かけが幼いけれど精神的に成熟した女性が好きな倒錯者なのです。
化物語シリーズでは、年齢的には既に成人しているけど幽霊だから小学生のままのとか、力が衰えてるからという理由で幼い見かけになった吸血鬼とか、式神だからそのまま歳をとらない童女とか、あらゆる策を弄して見かけより精神年齢が高い少女を作り出していました。あるキャラの幼女時代を書きたいが為に主人公を時間旅行させたことまでありましたね。

 

一日でその記憶がリセットされる女探偵という設定を聞いて、つまり一日ごとに若返っていくから記憶もなくなるに違いない、回を重ねるごとに幼女に近づいていく探偵とは恐ろしいことを考えると戦慄したのですが、そんなことはありませんでした。
年齢は明記されていませんが、ヒロインの今日子さんは普通に働いていてもおかしくない年齢と体格のようです。語り手が190センチを超える巨漢ということで、彼から見れば普通の体格の女性なんて幼女みたいなものかもしれないということも考えましたが、いやいやいくら背が高くても成人女性と幼女の体格差は普通の人と同じように認識されるでしょう。
サブキャラにも幼女は出てきません。つまりこの物語には作者の欲求を満たすような幼女はまったく存在しないのです。


そんな馬鹿な事がありえるのでしょうか。

 

まだ作家として駆け出しであまり趣味全開の内容を書けない頃だと女子高生を書く程度で我慢していたようですが、もう我儘を言っても許されるようなビッグネームだし、世間的にも彼の幼女好きは認知されている今、幼女を出さない意味が分かりません。

 

そこで私はハタと気付いたのです。
私が知っている「西尾維新」の知識は、彼がたくさんの本を出していた世界でのものです。kindleストアを検索したら明らかなように、こちらの世界では彼はまだこの小説しか出していない駆け出しの作家。

世間的にはドン引きな己の歪んだ性癖をまだ隠しておこうとしていても不思議ではありません。恐らくこちらの世界でも近いうちにその本性を現すでしょう。

 

このシリーズの二巻でいきなり幼女が出てきても驚く必要はありません。かつての世界の記憶ですが、彼は推理小説家が幼女であるというトリックも書いていたはずです。推理小説家が幼女であることが何故トリックになるのかは謎ですが、幼女を出せるなら口実なんてどうでもいいのです。だからその内こちらのシリーズにも幼女が出てくるでしょう。
それが「西尾維新」という作家なのですから・・・