kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット」を読んで

昨日の池上さんの解説塾はと言うと戦争問題というか兵器問題だった訳ですが、アメリカの莫大な軍事費を見ると戦争経済という言葉が浮かんでしまいますね。あれだけのお金をかけられるのは、それだけの儲けをアメリカという国が得ている訳で、実際儲け以上の金をかけたソ連が崩壊してしまったことを考えるとうまくやっているなとは思う訳です。
そりゃ陰謀論の一つや二つ浮かんでくるだろうし、実際にかなりの陰謀もあるのでしょう。

 

戦争がゲームに近づいて来たとかゲーム感覚とか陳腐になる程よく聞かされていますが、実際には逆で、ゲーム機の性能や作ってる側の知識が現実の問題を扱えるだけレベルが高くなったのだという部分が大半だと思います。
一部のゲームが現実に近づいてるんですよ。
だから最近ではコアなゲーマーが減っているんです。ゲームの世界でも現実を見せつけられるとか、そんなの娯楽でもなんでもないですからね。

 

そんな訳で以前のKADOKAWAのセールで買っていた「METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS」の感想など。
伊藤計劃さんによるゲームのメタルギアのノベライズで、ジャンルは近未来SFです。戦争を支配しようという陰謀と戦うレジスタンスのお話。

 

私自身はアクション要素のあるゲームにあまり興味がないので、メタルギアと言われてもコトブキヤから出てたプラモとか海洋堂のフィギュア程度の認識です。
小島秀夫さんもメタルギアシリーズの監督というより、「武装神姫バトルマスターズMk.2」のゲストデザイナーという感覚。

 

そんな私からするとこの本はちょっとご都合主義的な部分が気になるものの、十分に楽しめました。

ご都合主義的に感じる部分は、ゲーム的なお約束部分のような気はします。敵地に潜入する時のサポートメカが優秀なので、もうサポートメカだけでいいじゃんとかですね。
知らなくても楽しめるけど、ゲームを知ってる方が面白いんだろうなぁと・・・

 

伊藤計劃さんというとその生き方の方がある意味ドラマチックなので、前知識があるとどうしてもそっち側の知識に引っ張られて評価とか感想とか言いづらいところはありますね。
テーマ的にはデビュー作の「虐殺器官」とかぶる所も多いんですが、個人的にはこちらがお勧め。どちらも読むのが一番ですが、読む順番は発表順がいいです。

虐殺器官」が虚無へと向かう話なら、こちらはそこから抜け出すお話です。エンデ・ミヒャエルの「果てしない物語」の前半と後半の関係みたいな感じ。紡がれていく物語というテーマも「果てしない物語」的ですしね。

 

 ぶっちゃけ陰謀論なんてのは、自分は頭がいいと思ってるだけの人が自分の失敗を認めたくないがために自分に都合のいい敵の存在を捏造する過程で生まれてくるものがほとんどで、世の中を敵と味方にしか分けられない単純化された思想の副産物でしかありません。世の中には普段自分とかかわりの無いものがたくさん合って、その中のひとつとたまたますれ違っただけななのに、相手が自分に関心があると思いたいからありもしない関係をでっち上げてしまうのですね。

そんな訳なので内向的なゲームオタクが陰謀論に嵌ってしまうのはある意味必然的なものなのですが、物語として割り切って読む分には楽しめます。

事実は小説よりも奇なりってのは、陰謀論なんかよりはるかに複雑な偶然でこの世界が成立しているってことなんですが、何もかも偶然ってのは物語としては面白くないですからね・・・