kindle沼日記

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「フューリー」見てきました

「フューリー」見てきました。

 

正直に白状すると、ガールズ&パンツァーのせいで戦車熱が高まって、M4シャーマンが動いているところが見れるなら内容なんてどうでもいいやという気分で足を運んだのです。

 

そんな軽い気持ちや、いかにもアメリカ的ヒロイズムな戦争映画を期待してる人にはこの映画はお勧めしません。この映画に娯楽要素は一切ありません。第二次世界大戦版のプラトーン、それがこの映画です。

 

いやそれにしても参りましたね。最近はアメリカもかなり落ちぶれて、そろそろ日本も追いついてきた気がしてたんですが、市民意識の高さではまだまだのようです。

アメリカの一般市民が戦争に正義なんて存在しないことに気付いたのは、ジャーナリズムが発展したベトナム戦争以降の話で、第二次世界大戦に関してはファシズムから自由を守った正義の戦いと語り伝えられているもんだと思ってました。ちょっと前に大阪市長の橋下さんが「戦場では略奪なんて当たり前だからそれを防ぐために慰安婦と言う制度は必要だった」的な発言したら、各所から非難轟々でなんだそりゃという気分になったものです。

それがこの映画では、アメリカ兵が捕虜を裁判にもかけず勝手に私刑して殺すし、街を開放した途端に略奪を開始するという有様。アメリカ兵だろうがドイツ兵だろうが、銃を持った兵士が丸腰の市民にやることなんて変りはしないという見も蓋もないお話です。正義なんてクソ食らえ、ひたすら「戦争を見ろ」という内容でした。

 

戦車から戦争と言う要素を切り離してスポーツとして物語を成立させた日本と、正義の戦いとしてほとんど非難する人も居なかった第二次世界大戦での自国の行いを赤裸々に描くアメリカ。どちらがいいとか悪いとか、そういう話ではありませんが、過去の行いをきちんと反省しているという点ではこの映画の方に軍配が上がりますね。

 

この映画に娯楽的要素はほとんどないし、実際映画見てる最中に何人か帰ってたので、誰にもお勧めはしません。でも今の日本人はこの映画を見ておくべきだと思います。

なんと言いますか、「蛍の墓」と同じポジションの映画でした。