kindle沼日記

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去年のイブは最悪で

クリスマスですね。
まあ私のような独身主義のおっさんにはあまり関係のないイベントな訳ですが、年末はスーパーの食品売り場がパーティー用の食材やおせち料理の材料で埋まって、年末くらい普通に過ごしたい私には困りもの。

 

商店街でも定番のクリスマスソングが流れている訳ですが、それを聞いて思い出すのが楠瀬誠志郎さんだったりします。どちらかというとマイナーなミュージシャンなので、そんなことを言っても不思議な顔をされることの方が多いのですが・・・

 

楠瀬誠志郎さんは透明な感じの声と奇麗なハーモニーで心地の良い曲を歌われる歌手ですが、どちらかというとラブソング・・・それも女々しいと感じるような内容のものが多くてあまり私が好むタイプではなかったりします。


それなのによく聞くようになったきっかけは、受験勉強のBGM代わりに流していたFMの番組で「たんぽぽのお酒のお酒の栓をあけたら」を聞いたからです。
SFをたしなんでいる方なら、「たんぽぽのお酒」というフレーズにはひかれますよね。ただブラッドベリの作品にファンシーなものが少なかったように、楠瀬誠志郎さんの曲でもその系統は少なかったのです。

 

楠瀬誠志郎さんのクリスマスソングというと、「一時間遅れの僕の天使」が有名で、私がクリスマスに思いだしてしまうのもこちらの方です。これが街角で流れているケースは残念ながらないのですが、曲中で山下達郎さんの「クリスマスイブ」を揶揄ってるので、そちらを聞くたびにこっちも思い出してしまうというからくりです。
特に連絡もない彼女を一時間も待っているという状況で「きっと君は来ない」なんて歌詞が聞こえてきて、それを「よけいな歌」の一言で片づけてしまうんですから印象にも残るというものです。

楠瀬誠志郎さんの歌にしては珍しく前向きでハッピーな一曲でお勧めです。

 

ところがですね、この曲が揶揄ってるのはそれだけじゃないんですよ。
この曲の前に楠瀬誠志郎さんが作った「天使の消えた聖夜」というクリスマスソングがあるんです。もうタイトルだけで暗い雰囲気が漂ってきますが、内容もうんざりするほど女々しいです。
彼女に振られた男が、彼女と過ごした去年のクリスマスを思い出して時計の針を戻すんだけど、表示は去年に戻っても彼女は戻ってこなかったよと盛大に嘆くというもので、そもそも彼女のことを「天使」とか言ってる時点でかなりアウトですよね。
そんな超痛々しくて鬱陶しいクリスマスソングを歌った人が、「去年のイブは最悪で」と朗らかに元気よく歌い出すのが「一時間遅れの僕の天使」な訳です。
なにこの一年かけた壮大なネタ振り・・・


聞き比べてみるとその落差の激しさに今でもときめきます。

 

楠瀬誠志郎さんの曲でお気に入りというと、雨宿りの為に駆け込んだ喫茶店で昔告白して振られた女性と相席になって、しかもその女性の隣には今彼女が付き合っている彼氏も座っていて、そんな状況で気まずくなるどころかむしろ和気あいあいと話を合わせて、後で激しく落ち込むという曲もとてもコミカルで好きなんですよ。
まあ収録されてるアルバムのタイトルが「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」と非常に痛々しいんですが・・・
ストーカーという言葉が一般化される前の時代だから許されるタイトルですよね・・・

 

念の為にぐぐったら、「一時間遅れの僕の天使」はアイドルマスターでも使われていたんですね・・・

これは是非とも楠瀬さんの原曲も聞いて欲しいところです。