「ベイマックス」見てきました

映画館やＣＭでの番宣が感動もの路線だったんで興味なかったんですが、実際には初っ端からバトル展開のヒーロー物だと聞いて、あちらのＣＧの出来を確認する意味も含めて見てきました。

ディズニーと言うとシュガーラッシュも期待はずれだったし、去年は女性を穴呼ばわりする酷い作品を作ったそうで、あまりチェックはしてなかったんですよ。ろくに下調べもせずに映画館に出かけたら、そこは吹き替えオンリーだったんで仕方なく吹き替え版を見てきました。
しかも映画館は若い女性ばかりでいきなりのアウェー感。

開始そうそう健康に悪そうな餌ばかり与えられる可哀そうな犬が主役のショートアニメが始まって、犬を碌にしつけられない奴は子供もしつけられる訳がないよねという上から目線の嫌な結末を見せられる羽目に・・・シュガーラッシュの時もそうでしたが、ディズニーって毎回こんな性質の悪いショートアニメ流してるの？

さて内容についてですが・・・柔らかくて温かいロボットという発想は凄くいいですね。

ところで皆さんは自分がいつ先進国の人間だと自覚しましたでしょうか？
日本は発展途上国でした。そんな昔の話じゃありません。
40代のおっさんである私が子供の頃はまぎれもなく公害にまみれた発展途上の国でした。若い人にはピンとこないかもしれませんが、あなた達のご両親も当然発展途上国育ちですよ。
発展途上国は文化にあまりお金を使えませんので、海外のテレビ番組をよく流します。私が子供の頃も「奥さまは魔女」「サンダーバード」「トムとジェリー」「ポパイ」等々、欧米の番組は定番でした。日本の番組は手塚先生を初めとするアニメ番組やウルトラマンや仮面ライダーとかで、子供番組の国産と欧米との比率は半々といったところでしょうか。
ガンプラブームの頃から国産番組が増え始めて、ドラゴンボールの頃には国産がほとんどになった感じ。
特にスターウォーズショックなんかもありましたんで、日本のクリエーターはほとんど欧米の作品の影響を受けてました。

欧米には敵わないという意識は世間的にもかなり強かったと思います。

私が日本は先進国になったと意識したのが「ライオンキング」の頃です。
ぶっちゃけジャングル大帝じゃないですか、あれ。自分が子供の頃に見てたのを、アメリカの連中も見て影響を受けていたのだなと思うと俄然親近感がわくというものです。ああ、君達も手塚先生好きなの？　いいよね、手塚先生って感じ。
その後もいろいろ私が子供の頃に見てた国産アニメが海外でも大人気という話を聞いて、もうエコノミックアニマルとか言わせないぞという気分になりました。
まだ市民の政治意識やスポーツ観戦で差を感じることはありますが、少なくともこのジャンルでは日本も十分先進的だと胸を張って言えます。

何を言いたいのかと言うと、ディズニーのスタッフは「タイガー＆バニー」は見てても、「サムライフラメンコ」や「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」はまだ見てないんだなと。世の中の価値観が多様化していくにつれてアメコミも日本アニメも善と悪の再定義が盛んな訳ですが、正義を求める人々の心理を徹底的に解体してその歪さを指摘したのが「サムライフラメンコ」であり、我々一人一人が悪であり善なのだと説いたのが「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」でした。
そこからさらに一歩踏み出して敵対するという行為そのものを解消していく「プリパラ」という物語が進行中なのが今の日本です。

「ベイマックス」だけがアメリカの作品という訳ではありませんが、復讐ではなにも解決しないという日本のアニメでは周回遅れのテーマを今さら見せつけられてちょっと拍子抜け。
そしてそれを見て「感動した」とか言ってる人達は、「タイガー＆バニー」も「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」も見ていないのだと軽く絶望。
敵がいる社会って分かりやすいですが、よく考えたら生きづらいと思うんですよ。

「プリパラ」を見て、日本にはこんなのを作れるスタッフがいて、これを見て育つ子供達がいて、これからの日本は凄いことになるぞと思っても、それを見ずに生きてる日本人の方が遙かに多いんですよね・・・

ＣＧの方は確かに凄いですが、実物と変わりないレベルのＣＧを見せられても、それもう実写でいいやんと思ってしまう今日この頃。
この辺は好みの問題ですが、このＣＧ実物と見分けがつかないというディズニーより、このＣＧ絵と見分けがつかないという日本のアニメの方が私は好きです。

「ベイマックス」が駄目とは言いませんが、まずは「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」や「プリパラ」を見た方がいいんじゃないかな。

えっ、ストーリーについてですか？

あれってあんなに必死に戦わなくても、コントロール装置もう一つ作ればいいだけの話ですよね？
そんな適当なもので感動なんか出来るか！！！