kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「下ネタという概念が存在しない退屈な世界8」を読んで

 あとがき読んだらこれをアニメ化する話が進んでいるようで・・・

1ページに放送禁止用語が平均3つ入っている話のアニメ化とか、ガガガ文庫は馬鹿なの?
ソフィアの声優さんは能登さんでお願いします。


さて様々な政治的問題提起を続けてきたこのシリーズですが、今回提起された問題点は二点。

 

ひとつが真実が広まれば誤解は解けると考える楽観的若者世代と、大衆はどうしようもなく馬鹿だと絶望している親世代とのどうしようもないギャップです。
国民の権利を知る規制し民衆の出生率をコントロールすることで自分達の権力を拡大しようとしてきた政府とその関係者ですが、主人公達の活躍で正しい知識が流布しはじめ第三次ベビーブームが発生します。政府にとっては好ましくない事態であり、今まで以上に洗脳的プロパガンダを強化するのですが、主人公にとってそれは付け焼刃であり自分達の活躍で子供を授かった人達はいずれ味方になってくれると期待している訳です。
しかし主人公の親達、すなわち正しい知識を持ちながら規制の推進によって歪んだ知識を持つ世代が発生するのを見てきた世代には、大衆はどうしようもない馬鹿であり政府の穴だらけのプロパガンダでもあっさり信じてしまうと懸念しています。
これはまあ親世代の言いたいことも理解できるのが辛いところ。
おりしも現実世界でもインフレになれば国民の生活は楽になると根拠不明の説を唱えたアレな連中が、酷い金融緩和を実行して急激な物価上昇と行き過ぎた円安のせいでデフレの頃より庶民の生活が苦しくなっていて、先ごろ開かれたG20でも馬鹿げた金融緩和をする国は滅びてしまえと各国から批判を浴び、日本国債の評価も順中に下降中で、さらにスイスショックで金融緩和の末路がどんなものかを見せられて、それでも日本の国債は大丈夫という政府やマスコミの論説を馬鹿みたいに信じてるのが日本国民という連中ですからね。
そりゃ大衆の馬鹿さ加減には絶望もするでしょう・・・

 

二つ目が武装集団との対決方法です。
今回、主人公はいろいろと複雑な理由で国内の規制推進派の手を借りて、本来は味方であるはずの海外の規制反対派の妨害をしなければいけない状況に追い込まれます。
日本では規制反対派は非暴力が主体だし、規制派も鎮圧用に最小限の武器しか装備していません。体制側があまり武装をしないのは戦後の日本の伝統みたいなもので、かつて日本にテロリストが大量発生した暗黒時代も、警察が彼らを逮捕し続けることで収束させたのですね。反対する国民を殺しまくって秩序を守っていた戦前の大日本帝国への反省でもあります。
ところが海外では権力による問答無用の武力制圧が当たり前だし、それに対抗する為にレジスタンスも武装します。
主人公がその武装したレジスタンスの総本山に向かう際に、「相手が武装しているなら、こちらは丸腰にならざるを得ない」と服を脱ぎ捨てるシーンのなんと感動的であることか。
武器を構える相手に武器を向けるなら、その後に待ち受けるのは泥沼の抗争です。
まさに今、世界が自称イスラム教徒の犯罪集団と繰り広げている殺戮合戦のようなもの。報復の無限連鎖が待ち受けているだけです。
武器を持つ相手に徒手空拳で向かうのは無謀かもしれませんが、それこそ大和魂というものでしょう。全裸こそ抗争を引きとめる最終手段なのです。

 

などとこのシリーズがいかに示唆に富み、真剣に考慮するに値するかを滔々と述べてきた訳ですが、アニメ化されちゃったらいろいろとばれちゃいますね・・・
いえ、私は本当に今の世の中を憂いて、その解決の為にこの本を皆に薦めようとしているのですよ?
一ページに放送禁止用語が平均三つも並んでいる本を手に取らせて、皆さんを破滅に導こうとか思ってる訳じゃないんだからね!