kindle沼日記

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半藤一利著「あの戦争と日本人」を読んで

ホントは「日本の一番長い日」を読もうかと思っていたのですが、同じ著者のこちらの方が新しくて安くなっていたので購入。

 

幕末から昭和までの日本史を俯瞰して語るエッセイ集みたいな感じでしょうか。
この人の本は初めて読むのですが、ざっくばらんな感じで面白かったです。

 

前々から思っていましたが、こうして昔の話を聞くとかつての日本の外交って嫌になるほど今の中国とそっくりですね。まあ実際には昔の日本の方が今の中国より無茶やってたし、今の中国はかつての日本をお手本にしているだけでしょうけど。
今の中国に嫌悪感を抱く人が、昔の日本に同じ感情を抱かないのは不思議。

 

私がちょっと気になったのは、著者が世論というかその時その時の国民感情についても言及していることです。日本が太平洋戦争に突き進んだ原因は、指導者にもいろいろ問題があったけれど世論による後押しも大きかった、だから指導者だけを責める訳にはいかないという感じなのですね。
でも世論が好戦的になったのは、軍部やマスコミが景気のいいことばかり言ってたからというのも大きい訳です。真実を隠して扇動して、その扇動に乗った奴らも悪いというのはいただけません。

 

と主張したいところなんですが、最近の日本の世相を見ていると、そうも言えないんですよね。今の日本人は太平洋戦争の頃の日本人と比較にならないほど教養が高く、判断力も備わっています。
そんな今の日本人ですら、未だに現実把握能力に乏しく、流言飛語に流されやすい。本質を理解しようとせず、上辺しか押さえていないから、知識や経験の応用も出来ないし、大局的な判断も出来ない。日常でもどうでもいい瑣末事にこだわって、無駄な仕事増やす人多いですからね。

 

今の安保闘争とやらもそうですよ。
私がこれを嫌っているのはABE主義者が嘘つきで信用できないから、彼らの権限をこれ以上大きくしたくないだけです。ところが多くの日本人とやらは、彼のこれまでの嘘には興味がないらしく、追及するそぶりもありません。
ABE主義者がどんなことを言って、どんなことをしてきたのかには興味がなくて、自分の意見と違うことを聞いた時だけ、反応しているようなのです。嘘つきの話なんか吟味するだけ時間の無駄なんですけどね・・・
そりゃABEに「どうせすぐ忘れる」とか馬鹿されちゃうわけです。

 

だから過去の出来事をきちんと検証しようとする著者の姿勢には頭が下がります。
あの戦争に限らず、民主党政権が何故うまくいかなかったかとか、郵政民営化は結局どうだったかとか、そういうことをきちんと検証しないから、日本の政治はいつまでたっても駄目なんですよ。
そういうことは本来ならマスコミの仕事だと思うんですが、日本のマスコミは流言飛語作成の筆頭だからなぁ・・・

 

出来事を俯瞰して見て検証しようという感覚はどうすれば浸透するのかというと、やはり教育過程でやるのが一番効率的だと思うんですが、今の先生も戦前からの「偉い人が正しいことは正しいんだからそれを覚えていけばいい」という詰込教育で育ってるからなぁ・・・
大阪では校長の民間登用のおかげで、駄目な校長はすぐ辞めさせろという風潮が根付きましたが、それをもっと下までやって駄目な先生はすぐ辞めさせるようにすればかなり改善出来ると思うんですよ。
でも愚かな大阪市民は自ら改革の目を摘んで将来への道を閉ざしましたからねぇ・・・

 

勝てない戦争を始めて大負けして、バブルをコントロール出来ずに弾けさせて、国債を積み上げて暴落させる・・・日本人とやらにはそんな無様な生き様が似合っているのかもしれませんね。

そんな訳で「日本の一番長い日」もそのうち読もうかと思います。