kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

物理の教え

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

 

私の人生で一番初期に一番大きな影響を及ぼした本というのは、風見潤さんの「クトゥルー・オペラ」でしょう。


それまでにもいろんな物語にわくわくして、主人公やその世界観に憧れたりはしました。でもそれは夢や希望という抽象的な範囲であって、具体的な人生計画に影響を与えたのは「クトゥルー・オペラ」が初めてです。

 

クトゥルー・オペラ」はソノラマ文庫で発刊されたんですよ。
今から三十五年も前、まだ二十世紀で世紀末が差し迫る頃でした。当時はライトノベルという言葉もなく、その手の物語はジュブナイルと呼ばれていました。
コバルト文庫ソノラマ文庫ジュブナイル小説の双璧で、コバルトでは新井素子さんがデビューした頃、ソノラマでは高千穂遙さんや菊池秀行さんや夢枕獏さんが活躍した頃ですね。栗本薫さんのグインサーガがスタートした頃でもありました。
当時の小遣いからだと文庫本は月一冊だけしか買えませんから、巻頭のあらすじとか読んで凄く吟味していました。
ちょっとでも古い本なら図書館にないかも徹底して探したものです。
夢見がちな少年にとってはまさに夢のような頃でした。

 

そんな夢を横からがつんと殴ったのが「クトゥルー・オペラ」です。
クトゥルー神話はまだ日本ではそれほど有名ではなかった時期で、私にとっても「「クトゥルー・オペラ」」が初クトゥルーでした。話の内容的にはクトゥルーの邪神達を七組の双子が倒していくという、邪神への恐怖を主柱としたクトゥルー物の中では異端中の異端です。


太古の闇の歴史の中から復活した強力な邪神達が地球征服を狙い、それを超能力者の七組の双子が迎え撃つ、どちらかと言うと原作版のデビルマンやバビル二世やサイボーグ009的なノリです。

でもね、双子の超能力が結構しょぼいんですよ。
双子は仲間達との連絡用のテレパシー以外には、それぞれ一つの超能力しか持っていないのです。その中でも戦闘向きなのは日本の双子の発火能力とアメリカの双子の念動力、防御用として中国の双子のバリアとインドの双子のテレポートくらいのものです。
後は過去見と透視とレーダーという情報収集系。
対する邪神の力は強大です。正直、双子達の超能力だけで戦える相手ではありません。

 

では双子達に勝ち目はないのかというと、そんなことはありません。
双子達の中には、物理学の天才がいたのです。
彼らが物理学を応用した様々な作戦を立てて邪神を罠に嵌め、倒していくのです。ホーキング博士が有名になって物理学が持てはやされる十年近く前に、物理学の凄さを世に伝えたのがこの本なのです。

正直、当時の私にはこの本で説明される物理学は難しくて正しく理解出来ませんでした。物理に関するいろいろな本に手を出して、どうやら嘘は書いていないと理解するのが精いっぱいでした。

 そして狂喜した訳です。

いろいろな物語の主人公に憧れたところで、超能力者や超人にはなれません。
剣の達人や冒険家を目指すような時代でもありません。
夢と現実の違いを把握していく中で、物語は所詮物語であると諦めていた頃合いでもありました。
でも物理学なら、現実の世界でも習得できます。そして無駄にはなりません。

 

私は中学から独学で実践的な物理学を学びはじめ、高校では理系を選び、大学でも物理系を専攻しました。

これは自慢ですが、当時の私の物理の偏差値は八十台です。
高校の授業レベルなんてお遊びだし、大学ですら私と同レベルの人は助教授に二人いたくらいです。教授は逆に知識も発想も古すぎて話にならない人が多かったですね。


体力的には普通の人にも劣るレベルなので邪神には勝てる気がしませんが、邪神の手下レベルなら今でも何とか出来るでしょう。

 

長らく絶版となっていたシリーズですが、今調べたらついに復刻されたようです。

  


kindle版が出ていないので、さっさと出してほしいものです。
しかし著者の風見潤さんは消息不明とか・・・

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