kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

九井諒子著「ダンジョン飯」を読んで

評判になっているのは知っていたんですが、トリコ的なアレかと思って初めは無視していたんですよ。でもカドカワフェアでいろいろ物色している時に、作者が「竜のかわいい七つの子」と同じ人だと気付いて慌てて買いました。

 

いやコレ面白いですね。
もともとこの手のちょっと捻ったファンタジー物って、肝心のファンタジー部分がおろそかになっているものが多くて私は苦手なんですよ。ほらよくあるでしょ、世界観とか説明的な部分はゲームとかで皆知ってるでしょ的な感じで話を進めるようなの。それでいて途中でやっぱりオリジナルな設定が必要になって、後付でいろいろ追加して初期の頃と矛盾しているようなの。


その点、これはウィザードリ的な世界観を踏襲しつつ、合間合間に独自の解釈を突っ込んできて面白いです。
バジリスクや大蝙蝠みたいないかにも食べれそうなものだけでなく、クリーピングコインやミミックみたいな一見非生物っぽいイメージのものですら、どのような習性でどんな生態系を築いているか考え込まれていてにやにやします。
特に動く鎧の解釈が凄い。思わず友人に説明してみたくなりましたが、読んでない人にはネタばれだし、何よりあいつ魔物のことになると早口になって気持ち悪いとか蔭口叩かれそうなので諦めました。

 

私もウィザードリーには嵌った口ですが、こんな風にいろいろ妄想しながらプレイするのはたまらないですね。死者の復活がありという世界なので、登場キャラの死生観が妙に緩いのもそれっぽくていいです。

 

一見似非グルメ漫画っぽいですが、ダンジョンがどうやって出来たかとか何故ダンジョンを攻略するのか伏線も張っていて、冒険物として見ても大丈夫そうな感じ。
初めは打ち解けていなかったパーティーが、いろいろな事件を経て徐々に信頼を厚くしていく過程がしびれますね。
主人公のライオスだけは話が進むごとに株が下がっている感じですが・・・

 

お気に入りのキャラはエルフのマルセル。
エルフというとお高くとまったイメージですが、彼女の小者臭さはたまりません。
攻撃魔法も回復魔法も使えるし鑑定も出来るから、クラスはビショップなんですよね。
あのクラスは同レベルの魔法使いや僧侶に比べるとレベルの割に出来ることが少ないからか、割とポンコツに描かれてます。
彼女に限らず、登場キャラは何かしら愛嬌がある感じなので見ていて楽しいです。

 

ウィザードリィ系のゲームにはまったことのある人なら、一度は読んでみることをお勧めします。