kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

長谷敏司著「My Humanity」を読んで

「あなたのための物語」がけっこうツボだったので、短編集の「My Humanity」も読んでみたのですよ。

 

結論から言うと、面白くない訳ではないけれどイマイチのめり込めませんでした。

短編というか、長編の序章とか一部とかスピンオフ番外編みたいな感じのものが多いんですよね。
一番短編として体裁を保っていた「地には豊穣」は以前に別の短編集で既読だったし・・・

 

「allo, toi, toi 」に出てくるアニマというアイデアは非常に興味をそそられるのですが、題材とのシンクロ率がイマイチで分かりづらくなっている気がします。
アニマがどんなものか具体的に言うと、使用者の感情を自動的に分類して、使用者の判断を補助する為のツールです。例えば、あなたがネットニュースのトップページを見て、何かの記事をクリックしたとしますね。
勿論何か興味があったからその記事をクリックした訳ですが、アニマはその理由を自動的に分類してくれるのです。
テロの記事をクリックした時に「あなたはこの記事のタイトルを見た時に特定の民族への嫌悪感を抱いてました」とか、タレントの訃報の記事をクリックした時に「いい気味だと感じてました」とかですね。


自分の動機が明らかになることで、対応も変わってくると思うのですよ。
テロの記事を見た後で正義感的な発言しようと思ったとしても、実は人種差別的感情が先にあったと分かっちゃうとあまり攻撃的なことは言えないですよね。


ネットによって情報網が発達した今、アニマを装備した方がいいんじゃないかと思う局面は多いです。不用意な発言で炎上なんて何時の時代でもあったわけですが、今は拡散のスピードが段違いですからね。


そんな感じで結構幅広く使えそうな題材なので、「allo, toi, toi 」みたいな使い方はちょっともったいないなぁと思うのです。