kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

古きものからの卒業

今週のお題「卒業」

 

人間というものは基本的に安定した生活を望むもので、年を取れば取る程その傾向は強くなります。
何が言いたいかというと、40代のおっさんに卒業なんて話題を振られても、昔の話は覚えてないし最近は変化の少ない生活してるのでとても困るのです。

そんな訳で最近何かあったかと記憶を絞り出してみたのですが、そう言えばこのブログ書くきっかけになったのがありました。


私は紙の本から卒業していたのですよ。

 

紙の本なんて言っても最近の人にはピンとこないかもしれないですね。
本と言えば電子書籍というのが当たり前ですが、昔は紙に活字を印刷して束ねたものを本屋というところで売っていたのです。束ねないで長い紙を丸めた巻物なんてのもありましたが、電車で巻物広げて読んでる忍者に怒った侍が無礼討ちをするという陰惨な事件が頻発したおかげで、あっという間に巻物は廃れました。あれはホントに邪魔だったから、仕方ありません。

 

ところで皆さんは本というものがどれくらいあるか知ってますか?
電子書籍のサイトで検索しても、尽きること無いその数に眩暈を覚えることも多いかと思います。
そんな本を印刷して紙に束ねたものを販売していた本屋というのは、さぞかし大きかったんだと思う人もいるかもしれません。でもそんなことはなかったんですよ。大きな本屋も一部にはありましたが、そんなのは物凄く少数派。

 

大抵は5千冊も揃えていないような、小さな本屋が一般的でした。

しかも売り場面積の半分は雑誌。三分の一は漫画。残りの六分の一に実用書や辞書や小説が押し込まれているようなのがほとんど。
品揃えなんて推して知るべしで、一部のレーベルの最新刊しか置いていないような状態です。
具体的には電撃文庫とか、スニーカー文庫とかですね。だから毎月新しい本を読みたいと思うと、必然的にラノベを読むことになりました。


少ない品揃えという暴力によって、町の本屋達は読書好きの選択肢を奪い続け、彼らを滅ぼそうと目論んでいたのです。

こうして新しい読者が育たず、読書という文化は一度は滅びかけました。

 

そこへkindleという救世主が到来したのです。
開始当初の品揃えは決して豊富とは言えませんでしたが、それでも町の本屋よりは多かったのです。
私はkindleで検索を繰り返し、面白い本についての情報を共有したいという思いでこのブログを始めたのでした。

 

それから幾星霜、日本の読書体験を歪めていた悪しき町の本屋はあっという間に滅び去り、読書家達はお金さえ出せば好きな時に好きな本を好きなだけ読める環境を手に入れました。
もう本が紙で出来ていたことを覚えている人もほとんど居ないでしょう。

 

人々はついに紙の本から卒業したのです。
本を作る為に森の木々を切り倒し、本を運ぶ為にガソリンを消費して排気ガスをまき散らすような愚行から卒業したのであります。
なんと素晴らしいことでしょうか。

 

・・・そんな日が早く来るといいですね。