森橋ビンゴ著「この恋と、その未来。 ― 二年目 春夏 ―」を読んで
気がつくとシリーズの最新刊が出てたので慌てて購入。
アマゾンはkindleでシリーズの最新刊が出たら、お勧めメールを送ってくるべきだと思います。
私はおおむね何事にもおおらかで争いを好まないタイプなのですが、この世に許せないものが二つあります。それがちくわぶとはんぺんです。
このシリーズでは今までも広島風お好み焼きという、あの地方の食文化が非常に貧しい基盤の上に成り立っていることを証明する食材を何度も出していて、私はその度に苦言を呈して来たわけですが、ちくわぶまで出してきたからには、もう私も戦うしかありません。
そもそもちくわぶとは何の為に存在しているのでしょうか。
料理には素材の味を生かすという手法がありますが、私はちくわぶそのものの味を生かした料理などというものを見たことがありません。
たいていはこの本に出てくるように、汁を吸ってふやけた状態になっています。
つまりちくわぶの味とは汁の味です。ならば汁をそのまま口にすればいいじゃないですか。
巾着やロールキャベツのように、汁をたっぷり吸いながらも自らの具の味とマッチさせて更なる高みを目指す食材と比べて、ただ汁の味を取り込むだけの他人任せな生き方しか出来ないちくわぶの、なんと下劣なことか。そういうものは寄生虫と呼ぶのです。あなたは寄生虫を食べたいのですか。
勿論、味ではなく食感を楽しむ素材だってあります。おでんだとシラタキやこんにゃくなんかですね。
口に含んで噛みしめればくにくにと口の中で踊り、飲み込む時はつるんと滑り落ちていきます。
ではちくわぶを口にいれてみましようか。
まずはべちょりとだらしなく広がり、噛みしめればぐちゅぐちゅと汁が吹き出し、汁気の無くなった搾りカスがもぞもぞと食道を這いずりまわる・・・独特と言えば独特な食感なので、それが好きな人もいるかも知れませんね。ケーキを水に浸して食べるのが好きな人なら、ちくわぶの食感も気にいると思います。
ちくわぶとはそんな食べ物です。いえ、それは本当に食べるものなのでしょうか。
ちくわぶを好む関東人と、ソースと言えばオタフクソースかカープソースしか選択肢のない広島人。
それがこの本を構成する登場人物です。
マイナスにマイナスをかければプラスになるのが数学ですが、料理の世界では不味いものに不味いものを混ぜても、より一層不味いものが出来上がるだけです。
だからこの本でも人間関係がこんがらがって大変なことになってしまいます。
ちくわぶとオタフクソースでは、ライトなノベルになりようがないのです。
頼みの綱は今回から登場する新入生でしょうか。
この巻では活発で花を愛していて礼儀正しい一年生が主人公達の寮にやってくるのです。
広島出身といいながら育ちがいいせいか、あまり広島を感じさせないキャラなので、あの娘ならきっとちくわぶとオタフクソースの呪縛から物語を解放してくれるはず・・・
続きが待ち遠しいですね。