kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「昭和な街角 火浦功作品集」を読んで

ちょうど読んでた本を読み終わったので、予定通り「昭和な街角 火浦功作品集」を読んだのですよ。

 

Kindle Unlimitedで良かった、とても良かった・・・

流石にこれを定価で買うと凹みます・・・

 

内容は良くも悪くも火浦功です。と言うか、悪い方の火浦功です・・・

収録されている短編で、ショートショート的なものを除外すると中編的なひとつを除いてことごとく途中で終わっています。

もうね、ホントに途中でパタンと中断してるんですよ。

ショートショートの方も幾つかは苦し紛れの行き当たりばったりでなんとか紙面を埋めたような代物。

選択肢が少なかった昔ならまだしも、選択肢がいくらでもある今の時代でこれは厳しい・・・

 

これは流石に火浦功という作家をよく知っていて、あの人ならそんなこともするよなと笑って許せるような人でないと手を出してはいけません。

それか昭和という時代を懐かしめるような人です。

 

昭和といっても、64とかそんな最近の話ではありません。

植木等トニー谷を知っているような人達です。

ちなみに今40代の私ですら、その時代の人達は懐かしい芸人特集とかでしか見たことないので、少なくとも50代くらいじゃないと厳しいでしょう。

大林監督の尾道三部作を映画館で見ていた世代ならギリギリ雰囲気が分かるという感じで、ガンダムに例えるとZガンダムなんて新しいガンダムは知らないという人達向けです。

高度成長期という汚れきった時代を大いに謳歌した結果、そこで抜け殻になって後の時代についていくことが出来なかった・・・そんな時代に取り残された男の哀愁を感じる一冊です。

 

でも挿絵を描いてる竹本さんの巻末のあとがきはいいですよ。

と言うか、竹本さんの本もKindle Unlimitedにあるんですね。

てけてけマイハートはありえなさそうでありそうな塩梅がとてもいいのでお薦めです。