kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

J・K・ローリング著「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」を読んで

シリーズ三作目ですが、kindle Unlimtedに登録されているうちに読んじゃおうという訳です。

 

さて内容ですが、構成は一作目二作目と同じで、いかにも疑わしい人が実はいい人で疑いもしなかった人が犯人といういつものパターンです。

ただ伏線はきちんとはってあるものの、納得できるレベルかと言うとそれには程遠く、筋はとおっているけど色々と言い訳が必要なレベル。
ようは子供だましですね。


生まれた時から才能に恵まれた有名人のハリーの活躍がメインで、細かい辻褄は気にしない寛大さがいつもに増して必要です。

 

まあ分かるんですよ、作者の気持ちは。
一巻二巻がそれなりに売れて、読者からの反応も多かったんでしょうね。
その中に「あの動物はそんなに長生きしませんよ」という、おませな子供からの無邪気な指摘も多々あったのでしょう。

誇り高き作者としては、たかだかマグルの子供からの指摘にハラワタが煮えくり返る程怒り狂ったに違いありません。
「お前ごときが知っていることをこの私が知っていないとでも思ったのか」と、あの動物が十二年以上生き延びた理由を即座にでっち上げ、愚かなマグルに思い知らせる為にこのお話を書きあげたのでしょう。

 

だからあの動物についてこの巻では伏線はってあるけど、それ以前の話とは繋がって無くて読んでてもやもやする訳です。
あの動物の正体を見抜くきっかけとなった地図の存在も、双子の兄は二年間それで弟の居場所を確認していなかったり(確認してたらあの動物の秘密に気付く)、妹が命の危機にある時もただ無視していただけと判明したりする微妙なものになる訳です。
ちょっと冷静になればその程度のことすぐに気付きそうですが、愚かなマグルに侮辱されて怒り心頭の作者にそこまで求めるのは酷というものでしょう。

 

挙句の果てがハーマイオニーの持っているあの砂時計ですよ。
あれを使っていれば一巻や二巻の出来事どころか、ハリーの両親だって救えたかもしれません。
そんなもの、出すにしても普通ならもっと慎重に扱うべき代物ですが・・・

いいアイデアを思いついても、それを暖めて膨らます時間を惜しめば台無しです。
既に人気作家になっちゃうと、周囲のスタッフでもその辺を指摘するのは難しいのでしようね。

 

読者を愚かな子供扱いしてりゃ、そりゃ物語も杜撰になります。
本が売れて有頂天になる気持ちは理解出来ますが、自分も愚かなマグルの一人でしかないという自覚は忘れないでいてほしいものです。