kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「"空蝉" ヒカルが地球にいたころ」を読んで

野村美月さんの「"空蝉" ヒカルが地球にいたころ」がkindleに来ましたね。

 

紙の本が出てから半年ということでファミ通文庫にはもっと頑張って欲しいところですが、お値段が三割ほど安くなっているのであまり文句も言えません。個人的には新刊はお値段そのままで早く出るほうがありがたいんですが、こーゆー過渡期のシリーズ物は既刊を買い直しする必要もあるので安い方がありがたいのも事実なんですよね。

 

同時に文学少女の方もまだkindle化してなかったのがまとめて来た様で、これで文学少女はシリーズコンプリートかな。卓球場シリーズがまだkindleに来ていないので、そちらもよろしくお願いします。卓球場シリーズのあのお花畑感はなかなか圧倒的なので、ゆるゆりのスタッフにでもアニメ化してほしいところです。

 

空蝉の内容の方は前巻と比べると一休み的なエピソードですね。

このシリーズ、現代版の源氏物語とか言いつつ光源氏役のヒカルは既に死んで幽霊だし、主人公は外見が不良の不器用な少年で、ヒカルが元恋人と交わした約束を代行していくという誰をターゲットにしているかよく分からない現代ファンタジーですが、主人公がヒカルの人間性を理解していく傍らでヒロイン達がヒカルの死を受け入れていくという対比がなんだか物悲しくも面白いんですよ。

この物語は推理物的要素もありますが、ヒカルの幽霊は主人公にしか見えないことと、ヒカルの知識は生前に知りえたものに限られている(ヒカルだけで行動して主人公のいない場所での出来事を見聞きしたりはしない)ので、物語自体は意外にロジカルに進行してるのも好みです。周りの人間からしたら、主人公が生前ほとんど接点のなかったヒカルの過去を細々と知っていることがおかしいので、それが逆に主人公への不信感に繋がって任務達成のハードルが上がるのも巧い構図だと思います。

 

こういう話だとヒカルと意思疎通できるのが主人公だけというのは話を進める上でネックとなるので、たいていは途中からすべての事情を把握した協力者が現れたりするんですが、人の死を扱う物語で幽霊の存在が当たり前になっちゃうのは物語の重みが半減しかねないので出来れば今のバランスを保ったまま突っ切って欲しいところです。

同じレーベルの今期アニメにもなったアレなんて、どんどん犬の言葉が理解できる人増えてますからね・・・