kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「思い出のマーニー」を見て

お盆だからというわけでもないのですが、「思い出のマーニー」を見てきました。

ホントはゴジラ見に行きたかったんですが、多数決で負けてしまって・・・

 

宮崎さんの映画ではナウシカラピュタが大好きで、ジブリの中ではもののけ姫とトトロがそこそこ好き程度なので、そもそもジブリ映画にはあまり期待していませんでした。でも期待値が低かったせいか、思ってたよりは楽しめました。

あくまで「思ってたよりは」なのですが・・・

 

まず主人公が好みのタイプじゃなかったんですよ。現状に不満があるのに自分からは何もしようとせず、差し伸べられた手も拒否して何の努力もしない・・・そのくせ不満だけは一人前で被害者面してるクズ。

人が何か楽しそうに一生懸命していれば、もうそれだけで見てる方も楽しくなるものですが、人がつまらなそうに時間を浪費してるの見せられても不快になるだけです。主人公がそんなタイプだからこりゃ楽しめそうにないとそうそうにあきらめかけたのです・・・

それに絵柄も私にはあいませんでした。アニメのキャラの年齢ってデフォルメされてるからよく分からないじゃないですか。言動から20くらいと思ってたら高校生とか、大学生くらいと思ってたら30代とか。そんな風に見かけより老けているのはもう仕方ないと思ってたんですが、マーニーでは逆で実際には小学生なのに私には中年くらいに見えるキャラが何人かいたんです。それが小学生と一緒に行動してるから、ちょっと口調が幼い先生なのかと思ってたら、実は小学生・・・と見せかけてやっぱり自分が小学生と思い込んでるちょっとアレな人、という疑惑が最後まで抜け切れませんでして・・・

 

そんな疑惑にも理由があるのですよ。

 

この話、主人公の主観がメインで進むんです。タイプとしてはドグラマグラと同じ文脈で、実際にあったことも妄想も過去の出来事も推測もすべてが同じ比重で扱われて、主人公にとっての真実として物語が進行していきます。だから客観的に現実とそうでないものを切り分けようとすると見る側の負荷が増えるし、あまり面白くないんですよね。ドグラマグラと同じで、深く考えず流れに身を任せて印象だけを積み重ねていくのが一番いいと思います。客観的に何が起こっていたか考えるんじゃなく、その時々でどう思ったかという感情で構成されているんです。つまりこれは普通の人の論理で構成されたものじゃなく、もともとアレな人か、アレな人の振りをして作られてるんですね。映画を見ながらそういう分析してたらけっこう楽しめました。

逆にドグラマグラがまったく楽しめないというなら避けた方がいいと思います。

 

ただドグラマグラ的な楽しみ方をするには、最後に客観的な説明で論理的なオチが付けられちゃうのでがっかりしちゃうんですよ。主人公が正気を保っているのかどうか分からないくらいじゃないと、余韻がないよなぁという感じ。ようはアレでなく、アレの振りをして作ってたということなんでしょうね。客観的な文脈でなく、主観的な文脈で進行するお話というのも最近では見かけなくなったので、そういうのが好きな人は見に行ってもいいんじゃないでしょうか。