kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

創元推理文庫はシリーズ物のタイトルを何故つけないのか

ちょいと前にkindleでお安かったのとお勧めされたのでシリーズ全巻購入して読んでみたのですが・・・

 

これは高校を舞台とした学校の怪談推理小説版です。
私はもともと推理小説にあまり興味はないのですが、この「理由あって冬に出る」とその続編の「昨日まで不思議の校舎」はなかなか面白かったです。


お化けが出るという噂を聞いて、どうせ誰かの悪戯だろうと調べ始めたら・・・高度なトリックなのかそれとも本当に心霊現象なのかという境界線がどちらもときどき曖昧になっていい雰囲気です。怪談と推理小説はもともと兄弟みたいなものだけに、やはり相性はいいですね。

 

逆に推理要素とユーモアとかコミカルとの相性は悪いですね。だって人の秘密を暴きたてるのが得意な奴なんて、変人か性格悪いに決まってます。ホームズ先生はコカイン中毒の変人だし、ポワロなんて普段英語がうまく話せないふりをして相手を油断させてるくらい性格悪いし。そんな人達が周りにいたらユーモアどころか大迷惑なので、コメディの範疇に留めておくのはさじ加減が難しく、これもその辺りは失敗しています。ただこのシリーズはホラー部分が持ち味なので、それでもかまわないのですが・・・

 

特に私が興味深かったのは、作中の高校生達が普通に携帯電話を使っているところですね。私が学生だった頃には携帯電話なんて普及していなかったし、その頃から推理作家をしている人達には携帯電話を親の敵のように憎んでいたり、まるでそんなものは存在しないかのように振舞う人が多く、普通の推理小説で普通に携帯が出てくるというのは私にとって新鮮でした。
ちなみに私は物語を読む時に、その世界に携帯が存在しているかどうかをまっ先に確認するタイプです。携帯の有無で物語の進行は大きく変わってきますからね。

今でも進行を作者がコントロールしやすくする為に、重要な役割のキャラに携帯を持ち歩かなかったり使いこなせてないという設定をつけることは多くて、今期のアニメだと「グラスリップ」の駆とか「まじもじるるも」のるるもとかがそうでしたね。
最近はさすがに携帯そのものが出てこない現代ものはあまり見かけなくなりましたが・・・

 

ところでこれからする愚痴は本の中身とは関係ないのですが、創元推理文庫の編集者って本を売る気がないんですかね。
シリーズものでも巻数がタイトルに振ってないので、手を出しづらいんですよね。
これは別に創元推理文庫に限った話じゃないですが、ここは特にひどいのでいい加減にしてほしいです。一巻目の時はシリーズだと分からなくても、二巻以降は分かってるんだからタイトルで続編だときちんと分かるよう工夫してほしいですね。特に電子書籍版を出版するなら、一巻のタイトルから手を加えることもできたはずです。


まあ編集者にとっては本が売れないのは作者と読者が悪いんであって、自分達がなんとかしようなんてする気にもならないのかもしれませんが・・・
ちなみに「理由あって冬に出る」が気に入ったなら、次は「昨日まで不思議の校舎」を読めばいいですよ。他にも同じ出版社からいろいろ出てますが、ぶっちゃけ登場人物が同じだけの別シリーズなので特に手を出す必要は特にないかと。「学校の怪談」シリーズと「偽善者葉山のすちゃらか恋愛記」シリーズがタイトルだけでは分別できないんですよ。この辺は出版社側できちんとシリーズ名を付けてくれれば、読者も混乱しなくていいんですけどね・・・