kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

森博嗣著「すべてがFになる」を読んで

kindleのポイント還元セールの時に購入したものを読了。

 

推理小説は悪趣味なジャンルだと思っているので私はあまり読まないのですが、アニメになるという噂を聞いたので読んでみることにしました。

 

推理小説も短編ならまだ謎解きをメインとしていられますが、長編となると謎解き以外の味付けが必要になります。
横溝正史さんとかで一般的な手法が、殺人を娯楽にすることですね。次に誰がどんな風に殺されるか、それで読者の興味を引く手法です。
他人からリソースを奪うことが当たり前な前近代的な社会では、他人のリソースを完全に奪う殺人という行為を空想することが娯楽として確立していました。
最近では限りあるリソースをうまく共有していくことが求められつつありますが、過渡期である為にまだ殺人が大好きな人達がたくさん生き残っています。
そんな過渡期の奇妙なバランスの上に成立しているのがこの本なのかもしれません。

 

この本も連続殺人のお話ですが、殺人はあくまでトリックの一手法的な扱いですね。作者は恐らくトリックを先に思いついて、その後で事件を組み立てたのでしょう。
特殊なトリックを成立させる為に、特殊な場所と特殊な登場人物が配置されています。その特殊な雰囲気を楽しむというのはアリでしょう。
事件の現場となる研究所の職員達のライフスタイルや、そこで使われているシステムの説明なんかは心ひかれました。

 

ただトリックメインとは言っても、やはり悪趣味なお話ですね・・・