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kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「聲の形」を見に行きました

今更ですが「聲の形」を見てきたんですよ

結論から言うと、とても良かったです。
個人的ランキングだと「君の名は。」に僅差で勝ってます。

 

実は私、この映画を見に行く気はなかったんです。
恋愛系に興味はありませんし、あまり感動を前に押し出した演出も好きじゃないですし。

なぜ見に行ったかというと、「この世界の片隅に」は席が取れず、「君の名は。」も空席は多くなってきたものの良い席埋まっていて、この映画はたまたま良い席が開いていたという消去法的な理由です。

それに私は身体の不自由な方達との距離の取り方が苦手なんですよね。
私の方針としては、困っている人がいたら助けるし、特に困ってないなら気にしないというものです。
後は人に何か頼む時には「お願いします」、何かしてもらったら「ありがとう」。
別に身体が不自由かどうかなんて関係ありません。

 

ところが、一部の人達は身体の不自由な人達にやたら親切にするじゃないですか。
まるで御貴族様であるかのように、そんなことまでする必要ないやろと思うくらいあれこれするじゃないですか。
それに一部の御貴族様は、電車で渡り板を持ってくる駅員さんにお礼も言わずに去って行ったりするじゃないですか。
でもそんなことを注意しようものなら、御貴族様の取り巻き連中によってたかって非難されるじゃないですか。
だから困ってるようなら手助けするけれど、出来れば御貴族様やその取り巻きとは係わりたくないというのが本音なのです。


この映画も、そんな取り巻きの人達と思われるような感想がいっぱい見かけますしね。
積極的に見に行こうとは思わなかったのです。

 

でも見終わった後は、騙されたという気持ちです。
これ、御貴族様のお話でもいじめのお話でもないじゃないですか。
せいぜい登場キャラの属性の一つであって、別の属性でも置換可能なレベルじゃないですか。
しかもこれを見て主人公をいじめのことで非難するのも私にはお門違いに思えます。

 

このお話で責められるべきキャラが居るとしたら、それは担任のメガネ一人でしょう。
そもそも子供なんてまだ社会のルールをよく分っていないから、教育する必要があるんじゃないですか。
でもメガネは何も教えていない、それどころかいじめ的なものがあっても校長が介入してくるまで無視していたじゃないですか。

 

世の中には状況が変わることで非常にストレスを感じる人達が一定数居ます。
変化に正当な理由があったとしても、とにかく変えたくない、そんな人達がいるんです。
「チェンジ」を叫んだオバマさんの政策にことごとく反対して、まるで古い時代へ戻そうとするトランプさんが選ばれたアメリカを見るまでもなく、「美しい日本を取り戻せ」と叫ぶこの国の政治屋を選んだ人達を見てれば分かることじゃないですか。

大人達ですらそれなんですよ。
転校生がやってきて状況が変わったことにストレスを感じる子供達が居ても、何の不思議もありません。
その結果として転校生を排除する行動に出てしまうのは悲しいことですが、予測できないような珍しいことじゃありません。
しかもそのクラスの指導的立場にあるメガネが転校生の扱いに何の指示も出さず、転校生への嫌がらせが発生しても何も言わない。
これじゃいじめ的な手段を、先生が許可していると子供達が誤解しても仕方ありません。

 

これが先生がきちんとそういうことは駄目だと諭していて、それでもプリキュアのように大人に黙って自分達だけの判断で独善的な正義を行っていたというなら、子供達も責められるべきだと思います。
でもあれだけおおっぴらにやって、実際にメガネも気づいていたのに、親から苦情が入って校長先生が出てくるまで何も言ってませんからね。
彼が子供達の行動の許可を与えていたようなものです。

更に校長が出てきて問題になりそうになったら、突然手のひらを返して生徒を糾弾する。
こんな理不尽なルールチェンジなんてされたら、誰だって混乱するでしょう。


皆が守るべきルールが管理者の一存でころころ変わる、そんな状況で経験の少ない子供が、何が正しいかなんて判断できるわけありません。
疑心暗鬼で管理者の顔色を窺いながら行動するしかないのです。
しかも糾弾されたのは「転校生への嫌がらせ」であって、「嫌がらせ」という行為そのものじゃありません。
そりゃ新たな嫌がらせも起こりますよ。


だからこの映画ではいじめ的な行動をした子供達は責められるべきではありません。
教育が悪かったのです。
駄目な教育のもとでは、特攻なんて命を軽視する手段ですら美談になってしまうことは、この国で生きていればよく知っているでしょう。
社会的なストレスを緩和するには、誰かの尊厳を軽視して、自分が彼らより上だと認識出来るようにするのが一番手っ取り早いのです。

 

でもこの映画の主人公は教育のせいなんかにせず、自分の力で人との正しい距離感を学びなおしたのです。
何かというと「親が悪かった」「時代が悪い」「学校で教わったことが役にたたなかった」等と、
今の自分の状況を自分以外のせいにしちゃって自分では何もしない人達をよく見かけます。
そんなのを見なれた私からすると、この映画の主人公はとても立派に見えますよ。
駄目な教育を受けても、駄目にならないように生きていこうと頑張っている人がいるというのはありがたいですね。
未来への希望が湧いてきます。

 

それにこれ、恋愛してるつもりなのはヒロインだけですよね・・・
恋愛系というより、疑似家族ものだと個人的には思うのですよ。
結弦が勉強を教わりにくるとことか、ヒロインのお母さんが主人公のお母さんに髪の毛をカットしてもらってるシーンとか、凄く好きです。

 

なんと言うか、いい意味で騙されたといいますか、人の感想なんて当てにならないなぁという気分。
やっぱり食わず嫌いはもったいないですね。
先入観が邪魔してこれを見逃していた可能性があったかと思うと恐ろしい・・・