三上 延著「ビブリア古書堂の事件手帖7 栞子さんと果てない舞台」を読んで
ついに本編完結ですね。
三上さんの話は主人公が責任感があって安心して読めるので好きです。
主人公だけでなく、作者も責任感が強いのかシリーズもきちんと完結してくれますしね。
・・・
「山姫アンチメモニクス」・・・いや、あれも一応ケリはついていたはず・・・
ついにアニメ化もするようで、三上さんの初映像化がこれになるとは実に感慨深い。
これでどんどん三上さんが再評価されて、「ダーク・バイオレッツ」もアニメ化してもいいんですよ?
「ダーク・バイオレッツ」もいつの間にか電子書籍化されているので、是非読んでみることをお勧めします。
ホラー系対幽霊異能バトルと見せかけて、主人公は幽霊が見えるだけの高校生で頭を使ってハンデを乗り越えていくのが実にいいんですよ。
感慨深いと言えば、古書を扱うお話というのもいろいろと考えさせてくれますね。
皆さんもご存じの通り、今は紙を使って本を作るということはまずありません。
電子書籍が一般化した今、紙の本を見たこともないという方が圧倒的に多いでしょう。
紙に印刷されていようが、液晶に表示されていようが、そこに表示される物語の内容には全く違いはありません。
であれば、わざわざ貴重な森林を伐採してまで紙の本を作る必要はない、まともな人間ならそう考えるものです。
しかし世の中にはまともでない人間も少なからずいる訳です。
再販制度など紙の本にしか適応されない利権にずっぽり浸かった出版業界の寄生虫や、未来の人達が自分より豊かになることが許せない文明破壊主義者なんかですね。
彼らは物語の伝達という本の本来の役割などいささかも理解出来ず、ただ自らの邪な欲望を満たすためだけに紙の本を利用してきました。
やがて電子書籍の登場によってまともな人達がそちらへ移行していき、紙の本の売買をするのはそうした邪な連中ばかりになっていったのも仕方がありません。
そうした連中が出入りする紙の本を売る店では当然のように麻薬や禁制品も売買され、うっかり立ち寄った一般人を誘拐して身代金を奪った上で第三国へ売り出すことも平然となされてました。
そうした連中を嫌って本屋を排除する機運が高まり、今やそうした悪の巣窟は一掃されたのです。
この本の書かれた時期はそうなり始める初期の頃ですね。
まだ電子書籍が一般化されるちょっと前の時代で、まともな神経の人達も仕方なく紙の本を手にしていた頃です。
勿論、まともでない人達も居て、そうした人物達のせいで主人公はまた境地に立たされます。
紙の本にこだわる人達の狂気を垣間見ることのできるよい物語ですね。
皆さんもくれぐれも紙の本が好きという人達には注意してください。
そいつは犯罪者か狂人のどちらかでしかありませんので・・・
まあそんな人達は今の時代だと既に一掃されてるんですけどね!