kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「この世でいちばん大事な「カネ」の話」を読んで

西原さんの「この世でいちばん大事な「カネ」の話」を読みました。

 

初めに言っておくと、私はあまり西原さんのエッセイを読まないんですよ。

ほら私は上品系なので、あまり西原さんの芸風と馴染めないわけです。

 

そんな私がなぜこの本を読んだかというとこないだのカドカワのセールで購入した「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の最終巻を読んだのがきっかけでした。発売当初はいろいろ批判があったようですが、分かるわぁ〜その気持ち。

 

多分誰と誰がくっついたとか別れたとかそんなことは表面的な問題でしかなくて、実際には最終巻から溢れ出す甘すぎて気持ちの悪い妄想のような雰囲気が受け付けないんだと思います。なんといいますか、卒業間近に就職活動を始めた大学生が、常に定時で帰れて週休二日でいつでも有給がとれて年収1千万のホワイト企業しか就職したくないと言ってたら、友人知人のコネでとんとん拍子にそういう企業へ入社出来て、「でも社員旅行が海外じゃなくて熱海だったぜ、やっぱり世の中そんなに甘くないよな」って台詞で終わる感じ。

そんな話ある訳ないじゃんヽ(`Д´)ノ

もともとあんな妹いる訳ないじゃんという話なのに何を今更な感じですが、蜂蜜のかかったホットケーキ食べてたら上からコンデンスミルクをどばどばかけられたみたいな感じなのでそりゃ拒絶反応もでます。あまりの甘さに物語が破綻しているんですよ。最終巻前までは主人公は両親も納得させようと努力してましたけど、最終巻だと両親に秘密抱えたまま騙し続けますからね。そりゃ話が違うだろと言いたくもなります。

 

そんな激甘な展開に嫌気をさして、世知辛い世間の荒波に揉まれたくなって「この世でいちばん大事な「カネ」の話」に手を出してみたんですよ。

 

読んでみて概ね西原さんの言ってることには納得できるんだけど、ちょっと貧乏を過大評価しすぎな感じがしました。発展途上国の貧困と、二十〜三十年前の日本の貧乏を同じにしちゃ駄目だと思います。

作者は貧乏のせいで自分の前から去っていった友人がたくさんいると嘆いてるようですが、金がない方が人のサガは剥き出しになる傾向があるのは確かだと思うものの、ここ三十年程度の日本で貧乏のせいで作者の前から姿をけしたような人達は、少々裕福になっててもいずれ作者の前から姿を消す可能性が高いと思うんですよ。

実際、作者も書いてあるとおり裕福だろうが貧乏だろうが金が絡むとあさましい人達というのは居るもので、貧乏の方がそうなりやすくはなる傾向はあるんだけどある程度は本人の資質だと思うんです。世の中には自分が酷い目にあったから他人を酷い目に合わせてもいいと思ってる人が居て、当然そういう人は周りから嫌われるのでいつかは排除されちゃうんですよね。

それがつまり世の中から姿を消しちゃう人達という訳で、自業自得というか因果応報な面もあると私は思います。そういう人達が普通の社会から排除されるのはむしろありがたいことだとすら思っちゃいます。

これが今日食べる物すらないというレベルの貧困なら他人の助けが必要かと思いますが・・・所詮は恵まれた日本で暮らしてきた人の書いた本ですからね・・・この程度の世知辛さじゃ俺妹最終巻の毒々しい悪い甘々さは打ち消せなかったです・・・