kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて」を読んで

私は普段ルポとかあまり読まないんですよね。読んでもそれについて語ることはしないです。

何故かというと、嘘だから。

ルポに限らず、世の中に存在するすべての活字は嘘です。小説も感想文も説明文も論文も教科書も数式も全部嘘っぱちです。

より正確に表現するなら、真実であるという確証がまったくない。

活字である以上、どんな情報も「書いた人」というフィルターを通している訳で、どんなものであろうとそのまま信じてはいけません。とは言え、真贋を見分けるのにはかなりの知識と経験と労力が必要です。また当然人によって信じるポイントは違ってくるでしょう。真実はけっしてひとつだけじゃありません。

語る人がたくさん居る事件や、確認方法が簡単な事象なんかだとまだ判断しやすいんですが、一対一の取材や作者の体験が基本のルポなんて事実を捏造されてもそれ一冊読んだだけじゃ判断のしようがありません。だから私は初めから判断することを放棄して小説として読むし、ぶっちゃけ小説としてはレベルの低いものがほとんどなのであまり読まないし、読んでも語ることはほとんどないんですよね。

 

この本は、なんと言いますかあらゆる面でレベルが低くてうんざりします。

うっかり発言小町を覗いてしまった時の気分です。

 

まず相手の未成年の時の経歴を特定できるような情報を載せるのはアウトでしょ。

この作者の言うところの「在日コリアン」という人達が「在特会」とやらに差別されていると非難してますが、その本人が生まれや育ちで相手を批評している時点でもう駄目ですよ、品がないです。人は行った行為のみで批判されるべきです。

 

作者さんは「在特会」には誰もがなる可能性があるみたいなこと言ってますが、まあこの作者さんならそうですよねとしか言いようが無い。ブルーハーツの「TRAIN TRAIN」で「弱い者達が夕暮れ、さらに弱い者をたたく」って歌詞がありましたが、

在日コリアン」を「在特会」が叩いて、「在特会」を作者が叩いてという見事な差別の連鎖を見せてくれちゃってます。

またこの作者さん、本を読むのは勉強でネットを見るのは娯楽みたいな考え方の持ち主のようですが、この捉え方はとても危険です。活字にされていることはすべて嘘、本であろうとネットであろうとそれは変わりありません。どちらも信憑性の判断は常にその活字を読んだ人に委ねられてます。本の方がネットより上だというのは頭の悪い驕りです。

 

そもそもある問題を解決したいなら、その原因をきちんと分析しなきゃいけません。

1.韓国

2.北朝鮮

3.在日朝鮮人

この3つは政治的に別のカテゴリなので別々に対処しなきゃいけません。

1と2は国同士の問題ですが、3は地域の問題である部分が大きいかと思います。

この作者は嫌韓というキーワードでその三つをごちゃ混ぜにしたままきちんと区別しないので、ミスリードを狙ってるのか問題を解決する意思がないのか判断に苦しむところです。ぶっちゃけ「在特会」が人の注目を集める為に活動しているように、この作者も売れる記事を作る為にホットなネタを選んでるだけなんでしょう。問題が大きくなって注目度が上がった方が本が売れるので、解決意識なんて持てるはずもないですよね。客観的な分析は皆無で、主観ばかり。

セールだったとは言え、こんな本に金を払ってしまったことに大人として恥ずかしく思います。

 

個人的な意見として、

1に関しては日本に嫌韓が居るように、あちらにも反日派がいるのでお互い様というか、そもそも向こうの反日派が行き過ぎたせいでそのカウンターとして嫌韓が発生してるので、その二つで対消滅してくれるとありがたいなぁというのが正直なところ。文化的にはバブル期以前の日本文化をコピーしてる程度だし、政治的には小泉政権と鳩山政権の悪いところだけを抽出したような政治がずっと続いてて大変そうで、物価が安いというくらいしか魅力がない感じです。

2に関しては、最近特に迷走してて見てて飽きませんよね。まあ一番被害を受けるのは地続きの中国と韓国なので、そろそろ両国とも真剣に対応した方がいいんじゃないですかね。ベルリンの壁崩壊みたいに平和的解決が一番望ましいんですが、韓国政府が一番それを望んでいないようなのでドン引きです。話題になるのは指導者ばかりで、肝心の国民の情報がほとんど出てこないので個人的な判断は保留。

3に関しては、日本で生まれて日本で育った二世はもう日本人扱いでいいと思いますよ。それを嫌がる人はどちら側にもいそうだし、暴論だとは思いますが、普通故郷って生まれ育った場所のことでしょ?

逆に中国残留孤児は内面的には中国人でしかないと思いますし。生まれ育った国以外のことを母国だと思うのは、私はただのユートピア症候群だと思うんですよね。

 

国籍とか差別とかレイシズムを扱ったルポとしては、ちょっと前にセールになってた「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」の方がまだマシでしたね。