kindle沼日記

電子書籍のことを中心にまったりとやっていきます

「イリヤの空、UFOの夏」を読んで

少し前のカドカワセールの時に電子化されていることに気付いて全巻購入してたのをぼちぼち読み直したんですが、やっぱりいいジュブナイルですねコレ。

 

いかにも中学生的な、知識と経験が足りないが故の全能感と無力感が交互に訪れてて、いろんな意味でほろ苦いです。そんな中学生の世界と並行して、大人のいろいろ知ってしまったが故のどんづまりな絶望感も書かれてるのがいい対比というか、よけいに切ないところですね。エヴァンゲリオンの影響はいろいろと無視できないですが、主人公の浅羽が田舎のやんちゃな男の子なので印象がかなり前向きなんですよね、途中までは・・・

 

ぶっちゃけ平成版の「妖精作戦」な訳ですが、あちらの主人公が高校生ということを割り引いても浅羽の方が行儀よく感じるのは書いた人の差というより時代の違いな気がします。

高度成長期でネットもまだないせいで情報の共有化もままならず、その分自己主張が強いというか、よい意味でも悪い意味でも今より信念というか思い込みというか、自分を保ちやすい時代だったんですよ。その分独善的というか他者を顧みないというか、とにかくお行儀が悪くなる傾向があったわけです。

 

ネットという情報を簡単に共有できるツールが一般化した今でも時々馬鹿やっちゃうやんちゃな人達が後を絶たない訳ですが、ネットの無い頃だとそんなの日常に溢れてました。ストーカーが犯罪と認識されるようになったのなんて最近の話ですからね。

今じゃ笹本祐一さんの方が地味な作風になってるのもつくづく時代というか、時の流れを感じちゃう今日この頃です。