kindle沼日記

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テロリストのガンダム

昨日はガンダムアムロについて語ったので、今日はZガンダムカミーユについて語りたいと思います。

 

なぜ今頃カミーユかというと、最近のニュース見てるとむしろタイムリーなネタだと思うんですよね。カミーユって最近世間を騒がせてる独善的なテロリストですから・・・
スパロボしかしてないと知らない人も居ると思うので、そういう意味でも話しておきたいと思います。

 

そもそも「機動戦士ガンダム」と言うのは、スターウォーズに触発されたスタッフがリアルなロボット物を目指して、第二次世界大戦を下敷きにして作ったお話だった訳ですね。その目論見は成功して、ロボット物の中にリアル系というジャンルが確立されたんです。

その続編を作るということで、冨野さんも随分悩んだんだと思うんですよ。
リアルとか言っても、第二次世界大戦なんて聞きかじりの知識しかない訳ですからね。もっとリアルに、自分達がよく知っている「人を殺すことをなんとも思っていなかった連中」に戦争をさせてみようと考えたのでしょう。


今の若い人は不思議に思うかもしれませんが、日本中でたくさんの殺人鬼達が事件を起こしまくった暗黒時代があるんです。彼らは自分が絶対に正しいと信じており、つまり自分と意見の違うものは悪であるから殺してしまった方が世の中の為になると考えていました。
そして自分に反対する連中を殺して殺して殺しまくったんです。

冨野さんの年代だとそうした連中が起こす事件を連日のようにニュースで見ていた訳で、第二次世界大戦なんかよりもっと身近でリアルな存在なのでしょう。

 

カミーユがどんな奴かと言いますと、「お前みたいに簡単に人に死ねって言うやつがいるから、世の中はよくならないんだ。お前のような奴は死んでしまえ!」って叫びながら人を殺す奴です。

Zガンダムというのは、そんな自分だけは正しいと信じている連中が、互いに殺しあう物語でした。

 

それは最後まで徹底していて、カミーユシロッコというキャラの中に悪を見出して殺そうとするのですが、シロッコカミーユも、自分が正しいから他人を裁く権利があると盲信している独善的な人間なんですね。
結局カミーユが不思議パワーで「お前みたいな奴はいなくなってしまえ」と攻撃してシロッコを倒すんですが、お前みたいな奴=シロッコカミーユなので、その攻撃はカミーユ自身の精神も攻撃して、結果的にカミーユの心は消滅して身体だけが抜け殻のように残るのです。


主人公が独善的な殺人鬼で、自らの攻撃性で自滅するというストーリーは当時としても抜群に後味悪かったです。それがリアルな戦争だという冨野さんの目論見は、今中東で起きてること見ると慧眼だと言わざるをえないんですが・・・

 

そんな冨野さんも結局「逆襲のシャア」ではアムロを主役に戻した訳で、やっぱりあれは無かったと反省してたんでしょうね・・・