守られる子供達 - kindle沼日記

昨日はプリキュアについて大人げも無く延々愚痴を書いちゃいましたが、まあ昔に比べたら良くはなっていると思うんですよ。それこそ時代が時代ならプリキュアくらいの年代の女の子は奉公に出されたり、遊郭で客を取ってても不思議じゃないですからね。

それから比べたら衣食住を保障されて教育も受けさせてもらってるんだから、大人達のが平穏に暮らす為にモンスターと戦い続けろというのもアリなのかも知れません。

あの世界が２１世紀の日本じゃなければ私もそんなに文句は言わないですよ。

子供の価値なんて時代によって変わりますからね。

いや人間そのものの価値がどんどん変わっている訳です。

戦後なんて十代の子供はぶっちゃけ身体の小さな大人扱いでした。そもそもその頃だと、平均的な大人なんて禄に教育も受けていない、今の目で見ると身体の大きな子供に過ぎません。ほとんどの大人は身の回りのことや自分の仕事に関することを経験的に学んでいるだけでした。

生活に直接関係のない専門的な知識を学んでいる人も居るには居たでしょうが、そんなの全体の一％にも満たない訳です。だから優れた洞察力や反射神経で頭脳的または身体的ハンデを乗り越えるだけの才能があれば、若くても大人扱いされた訳です。

才能のある子供＞教育を受けていない普通の大人　な訳ですね。

だから鉄人２８号の正太郎やマジンガーＺの兜甲児が大人達を差し置いて第一線で活躍できた訳です。私の知る限り、日本では三十年前くらいまではそんな価値観を引きずっていました。ぶっちゃけ私自身が大人を論破する子供でしたからね。あの頃の大人はまだたいしたことありませんでした。

義務教育が一般化して、その恩恵を受けた子供達が社会に出て活躍するようになってじわじわと変わってきたのだと思います。私がそれを始めて実感したのが機動戦士ガンダムのワッケイン少佐の台詞でした。

戦争に少年兵を投入せざるを得ない事態を「寒い時代」と自嘲したアレです。

今までのアニメでは主人公の子供達は嬉々として大人達に混じって戦っていましたが、ガンダムは無理やり戦わされてそれに反発したりもする物語でした。その後のテンプレになった感はありますが、初めて見たときはびっくりしましたよ。

次に衝撃的だったのが銀河漂流バイファムですが、これは時代の流れとは関係なく、いろいろな偶然が生み出した奇跡だったんじゃないかと思うときがあります。

バイファムも子供達が戦う物語でした。でもバイファムの子供達は戦わされていた訳じゃありません。大人達は子供達を守って死んでしまったので、子供達が戦ったのです。

しかも身を守る為でなく、自分達の親を助け出す為に。

バイファムの世界では、いくら戦闘力があっても子供達は軍人にとっては守るべき対象です。大人達は子供達を見つければ保護して安全な場所へ強制送還しようとするし、敵が攻めてくれば自分達が盾となって子供達を逃がします。今のアニメですら見られない程子供達は大切にされてました。

また主人公のロディが素直でいい子なんですよね。当時のアニメの主人公は大人を小ばかにしていたり反抗的だったりするタイプが多かったんですが、ロディは驚くほどに普通の子供でした。おかげでこの手の話にありがちな仲間同士の対立なんてこともまったく無く、リーダー役やライバル役の子とも普通に友達同士でした。私は放送当時ロディとほとんど同い年でしたが、毎週楽しみにこの番組を見てました。

これが裏番組の怠惰な少年が自分で何の努力もせず他人に頼りまくるだけのアニメに視聴率で負けて打ち切りになりかけた時には、危うく世の中に絶望するところでしたよ。打ち切りでなく放送時間延長と言うことで、なんとかソウルジェムが砕けるのは避けられましたが・・・

裏番組のアレは未だに続いてるんですよね・・・

その後はあまりアニメを見なくなるのであまりはっきりとは言えないのですが、やはり時代感覚的にもバイファムは特別なお話だったと思います。

最近の若い子はバイファムと同時期のアニメ・・・ダンバインやボトムズやエルガイムは知っててもバイファムは知らないという人が少なくないかも知れません。ファン層や当時の話題的にもそれらのアニメと同等以上の人気がありましたが、ロボット物でしかもかなり特徴的なメカなのに、スパロボには出てませんからね。

実はそれって当時のファンにとってはちょっとした自慢なんです。

バイファムの話をきちんと知っていたら、あの子供達をスパロボで戦わせる理由がありませんからね。あの子供達は戦闘員でなく保護対象なんですから。そうやってバイファムの子供達は今でもいろんな大人に守られているのです。

それはとても素晴らしいことだと思うんですが、その傍らで誰にも守ってもらえず戦わされてる子供のアニメがこの日本で今も作られ続けてるんですよね・・・

昔よりはマシな世の中になりましたが、まだまだバイファムの段階に到達するには時間がかかりそうです。