kindle沼日記

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「下ネタという概念が存在しない退屈な世界 6」を読んで

下ネタという概念が存在しない退屈な世界」の六巻を読んだのですよ。

性教育すらせず卑猥な知識を撲滅しようという超管理社会で、下ネタを広めようというエロテロリストの活躍を描いた馬鹿話ですが、もう六巻なんだ・・・

 

さてこの六巻では「こうのとりインフルエンザ」という病気が出てきます。
どんな病気かと言うと、卑猥な知識に接すると子供が出来なくなるという恐ろしいものです。それを性教育がまったくされてない学生達に政府が広め、卑猥な知識への接触を絶とうとします。そんな政府の作為満々の嘘病気ですが、劇中では性に関する知識を規制されたまま純粋培養された若者達だけでなく、性知識のある多くの大人達まで信じちゃいます。

馬鹿ですね。大馬鹿ですね。

 

でもね、現実に目を向けてくださいよ。

TPPは絶対反対と選挙の時に叫んでいた政治屋がTPPを成立させようとオバマと会談してます。
フクシマは完全にコントロールしていると言ってたのに、未だに放射性物質はだだ漏れです。
集団的自衛権と関係ない筈の離島でのグレーゾーン事態まで、なぜか集団的自衛権の枠組みの中で語られてます。
そんな出鱈目な大嘘吐きがトップに居て、それがおかしいなんてまるで報道されていない国に住んでする私からするとまるで笑えません。ある意味現実の方が馬鹿さで上回っています。

 

そして肝心な物語の方ですが、残念ながらややマンネリ感が漂っています。
ストーリーの方はきちんと進んでいて、劇中の情勢も大きく動いているので正確にはマンネリではないんですけどね。主人公とヒロインの間に、告白したら終わっちゃうから結論を引き伸ばしという一部のラブコメでよく見るアレが発動しているんですよ。
これは単純な引き伸ばしでなくて、話の流れと主人公の立場がマッチしなくなったのが原因だと思われます。衝動的に社会の矛盾を突きつけるだけだった最初の頃と違って、おかしくなってしまった社会をどうしていくかという具体的なところに物語が進行しましたからね。
そうなると話を動かすのは政治家やその周辺の社会人になって、社会的には高校生でしかない主人公達の活躍の場が限られてしまうんです。情報管制された状況で個人が社会に対して出来ることなんてたかがしれてますから。
主人公を大人のキャラにバトンタッチするというやり方もあったかも知れませんが、それはそれで難しいだろうなぁ・・・


作者がどこに話を着地させるつもりかわかりませんが、しばらく主人公とヒロインの停滞は続きそうですね。これからも生暖かく見守っていこうと思います。