「続・終物語」を読んで
発売から少し経つ訳ですが、「続・終物語」をようやく読了。
いや、読み終わるまでにいろいろとあった訳ですよ、いろいろと。
西尾維新さんの物語シリーズがついに完結したという話を聞いて、こりゃいかん早く読まなければとあわててkindleストアを検索したのですが、検索件数0件。「西尾維新」で検索したにも関わらず、その時は0件だったんですよ。私の記憶の中に「西尾維新」という名の作家が居た記憶はあるのに、その本がkindleストアには存在していないのです。
ひょっとして顔を洗っている間にでも「西尾維新」が存在していない別の世界に紛れ込んでしまったのでしょうか?
実際に悩んだのはほんの数秒です。私ほどの人物ともなればたいていの解決策はすぐに思い浮かびますからね。私は慌てず騒がずkindleストアからの検索をAmazon全体での検索に切り替えました。そして目的のタイトルを発見したのです。
商品のカテゴリは「本」になっていましたが、本と言うものはkindle paperwhiteで読むものでしょう。ならばkindleストアで購入できるはず。きっとAmazonの担当が入力を間違えてしまったのでしょう、ホント人騒がせですね。
そんな軽い気持ちで購入ボタンを押したものの、待てど暮らせど私のkindle paperwhiteにダウンロードされません。そろそろ苦情でも言うべきかと重い腰を上げたところへ、宅急便でそれが届きました。
本を宅急便?
ひょっとするとデータサイズが大きすぎて、CDやらUSBメモリやらのメディアにコピーでもしたのでしょうか。私の記憶の中の「西尾維新」という作家は多作な方だったので、そんなとんでもないデータ容量の本を書きあげてしまう可能性を否定できません。
不安に駆られながら開封して出てきたのがコレ。
何やら紙で出来た直方体で、スライド式に赤い本体が収納されているようです。
表面にコネクタの類はなく、ボタンも存在していません。これではデータを吸いだせないではありませんか。不親切なことに説明書の1枚も添付されていないのです。
いったいどういうことでしょうか。
いろいろと試しているうちに、恐ろしいことに気づきました。
中に入っていた赤い本体は、紙を重ねて綴じたものであり、紙の表面には文字がびっしりと印字されているのです。
これが本?
いえ、皆さんは不思議に思うかもしれませんが、これも本なのです。より正確に言うならこれも本「だった」んです。
私は普通の人より博識なので知っていますが、今のように電子媒体が発達する以前の時代にはこのように紙を綴じた本が流通していたのですよ。紙なんて輸送中に水に濡れたり燃えたりしたらそれでおしまいじゃんと今の人は笑ってしまうかもしれないですが、そんな不安定なものに頼っていた時代がかつては存在していたのです。
勿論、重いですから輸送にもコストがかかりますし、カサがありますから保管するにも場所が必要です。前時代にはこうした本をずらりと並べた本屋というものも存在していたのです。
当然、kindleで取り扱っている本をこのような紙の束で並べたら百貨店でも納まりません。本屋とか言いつつ、出版されてる本のごく一部しか取り扱っていない、例えるなら大根とキャベツしか置いてない八百屋のようなものだったようです。
そんな不完全なものを本好きと呼ばれるような人達が許容できる訳もなく、紙製造に関する既得権を持ってるごく一部の環境意識に低い連中が抵抗したようですが、電子書籍の発表とともに瞬く間にそんな店舗は駆逐されました。
だから今の人達がこんな紙の束を知らなくてもなんの不思議もありません。
私以外にも困惑している人が多いと思うので、そんな紙の束の読み方についてまとめておきたいと思います。
1.ページめくり
紙の束にはページ送り機能がありませんので、紙は1枚ずつ手でめくる必要があります。読み終わったページから順に1枚ずつめくってください。読み終わる前にめくると話が続かないので要注意です。
2.明るさ調節
紙の束には明るさ調節機能がありませんので、明るい場所で読むようにしてください。夜になったら照明を付ける必要があります。
3.中断時
紙の束にはページセーブ機能がありませんので、最後まで一気に読む必要があります。もし万一途中で読むのを中断したい場合は束を開いたまま保持しないといけません。一番簡単なのは手で開いたままにしておくことですが、お風呂に入る時などは防水処理が必要となるでしょう。
4.方向
うっかり上下逆に開いた場合、加速度センサを内蔵できない紙の束は当然表示を切り替えてくれません。メンド臭いですが持ち直す必要があります。文字が左右逆の場合にも反転機能はありませんのであきらめてください。
いやはや、私は普通の人より賢く博識なのでこのような困難なミッションも乗り越えて、無事「続・終物語」を読了しましたが、こんな前時代的な形式で出版する講談社のスタッフはいったい何を考えているんでしょうかね。
ホント訳が分かりません。