森博嗣著「デボラ 眠っているのか?」を読んで
以前に紹介した「彼女は一人で歩くのか?」のシリーズ四巻目になります。
相変わらず呑気な博士とそのボディガードの生真面目で無口な女性の物語なのですが、ボディガードさんの反応が微笑ましいというかちょっと心配になるというか・・・
例えばですね、博士がテロリストの黒幕かもしれない人物から休日に食事を招待されるケース。
博士的にはもし黒幕ならそんな見え透いた手は使わないという理由で、ほいほい食事に行こうとする訳です。
当然、ボディガードは反対するのですよ。
博士は初め「嫌なら君は来なくていいよ」と言うのですが、それだと何かあった時に責任問題になると考えて、君は来るなと命令するんです。
ところがボディガードは、その日は休日で勤務時間外だからあなたの命令は聞けませんと主張してついていくのです。
休日に勤務以外の理由で上司の後をつきまとうとか、それもう半ばストーカーだから・・・
それとか旅先のホテルで博士が、ある人物に今すぐ隣室のボディガードの部屋へ避難しなさいと忠告されて、爆弾の爆発から危機一髪で助かるというケース。
その忠告した人物が味方かどうかという議論で、ボディガードはその人物が博士を信用させるために仕組んだのではないかと疑うんですよ。
博士が、君が僕を部屋へ入れてくれなかったら爆発に巻き込まれてた訳だから狂言とは思えないと主張すると即座に「私が博士を部屋に入れないなんてありえない」と反論するのです。
いやもうあなたがいつでもウェルカム状態とか知らんがな・・・
他にも博士がちょっとでも調子悪そうならすぐに医者に連れて行こうとしたり、もう子猫を産んだ直後の母猫のような過保護ぶり。
もういろいろと大変なのです・・・
そんな楽しいシリーズなのですが、困ったことが一つ。
この巻のタイトルで勘の良い人は気づいているでしょうが、実は「すでてがFになる」の登場人物の一人がかなり話の中核に食い込んでいるんですよね。
なのでこちらを読み進める前に四季シリーズの方を先に読むべきか悩み中・・・
ただそちらの方はあまりいい趣味じゃなさそうなんですよね・・・